第六十五話 日本の夏の料理その十二
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「そうした事情でもね」
「東京じゃ一点豪華主義ですか」
「そうさ、京都のお大尽とはね」
その彼等とは、というのだ。
「もうね」
「違いますか」
「そうさ、着倒れとかね」
京都はそれの街だと言われている、服に気を使う街ということだ。大阪は料理で食い倒れであり神戸は靴で履き倒れである。
「言われてるけれど」
「東京はそうですか」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「そうした背景があったんだよ」
「大阪と違うのはおつゆだけじゃないんですね」
「これがね」
まさにというのだ。
「そうなんだよ」
「そういうことですね」
「大阪じゃお侍さん殆どいなかったね」
「何か数百人程でしたね」
「五十万はいたっていうけれど」
江戸時代の大阪の人口はというのだ。
「そのうちのだよ」
「数百人って少ないですね」
「江戸は半分がお侍だったんだよ」
「大名屋敷に旗本さん達もいて」
「御家人の人達もね」
「それで人口の半分がですね」
「お侍さんでね」
そうした状況でというのだ。
「その分幕府の目も気になったんだよ」
「お侍さんってそうしたこと気にしますしね」
「それでね」
その為にというのだ。
「町人までね」
「気にしてたんですか」
「実際幕府のお膝元で目は厳しかったしね」
「幕府が質素って言えばですか」
「従わないといけなかったんだよ」
「江戸はそうだったんですね」
「けれど大坂じゃね」
翻ってこの街はというのだ。
「本当にね」
「そうしたことはですね」
「なくてね」
それでというのだ。
「おおらかだったんだよ」
「そうでしたか」
「お侍さん一生見なかった人もいたそうだし」
大坂はそれだけ武士が少なかったのだ、一生大坂の町人の場所で過ごしていればそうなるのも当然であったのだ。
「そんな一転黄河主義もお金があったら」
「する必要なかったですか」
「そうなんだよ」
「東京と大阪ってそこも違うんですね」
「あたしもこっちに来てわかったよ」
こうしたことがというのだ。
「おつゆ以外も随分と違ってね」
「どうして違うかはですね」
「そうした理由があるってね」
「わかったんですね」
「そうさ、じゃあ関西のおつゆでね」
「今はですね」
「お素麺食べようね」
かな恵に笑って話した。
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