第六十五話 日本の夏の料理その十一
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「違うしね」
「あっ、勝負下着ですね」
「それを着てるとね」
それならというのだ。
「見せなくてもね」
「脱いでも凄いってですね」
「自然とそう思えてね」
それでというのだ。
「気構えが違うんだよ」
「だからいいんですね」
「そうだよ、だからあたし下着にもね」
「気を使っておられますか」
「むしろそうした見えない、そうしたところにね」
「気を使うことですか」
「江戸っ子なんだよ」
こう言うのだった。
「所謂江戸っ子のお洒落だね」
「それですか」
「だからね」
それでというのだ。
「あたしもね」
「そうしたお洒落をですか」
「してるんだよ、こっそりとしたところや」
「見えないところにですか」
「お洒落をするのがね」
それがというのだ。
「江戸っ子のお洒落なんだよ」
「そうなんですね」
「昔はお上、幕府が時々五月蠅くてね」
「ああ、改革ですね」
「それを言い出して」
そうしてというのだ。
「質素倹約強制してね」
「幕府の改革ってそうですよね」
かな恵は教科書で学んだことを話した。
「改革する度に」
「田沼さんは別にしてね」
田沼意次の改革はというのだ、他の改革と言われる幕府の改革が財政緊縮政策であるのに対して彼のそれは重商主義的な大規模な投資政策であった。
「もうね」
「幕府ってお金やばくなるとそうしてましたね」
「またしょっちゅうやばくなってたね」
「歴史見たらそうですね」
「それでだよ」
「その度に改革やって」
「贅沢するなって言って」
町人達に対してもというのだ。
「いいもの見せびらかしてたら怒るから」
「それで、ですね」
「江戸っ子は一点豪華主義でね」
「見えないところにもですか」
「お洒落するんだよ」
「その時の考えが残っていて」
「そうなんだよ、しかもお金ないだろ」
麻友は明るく笑ってこうも言った。
「庶民って」
「まあそれを言ったら」
「そうだね」
「はい、確かに」
「だから全部にお金使ってられないからね」
「生活費とかありますね」
「宵越しの銭は持たないけれど」
江戸っ子はこうも言うがというのだ。
「色々使うからお洒落にはね」
「多く回せなくて」
「それでだよ」
「お洒落するところも限られていて」
「それでね」
その為にというのだ。
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