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展覧会の絵
第十六話 最後の審判その九
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「それに腹筋だって使うけれど」
「走るのは全身で走るよね」
「そうだよ。けれどね」
「僕の場合は肩に力が入り過ぎてるんだ」
「それよりむしろ腹筋使った方がいいのよ」
「腹筋なんだ」
「そう、腹筋ね」
 二人で学校の空手部道場に向かって歩いている。その中でだ。 
 雅は猛のその腹を見る。制服の上からだとただ痩せているだけの腹だ。だが実際はどうなのかを雅は遂に知ったのである。あの夜に。
 だからこそ猛のその腹をいとおしげに見ながらだ。こう言うのだった。
「猛は腹筋はしっかりしてるから」
「そこを使えば」
「そう。よくなるから」
「じゃあこれからは」
「腹筋をもっと使ってね。肩よりもね」
 そうして走ればいいというのだ。
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