暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
隠し球
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……ムービング!!)
(うっ!?高い!?)

これまでほとんどなかった失投。それがこの場面で来てしまい、恵はそれを逆らわずに流し打つと打球は一、二塁間へと向かっていく。

「セカンド!!」

ファーストもセカンドもボールに向かって飛び付く。しかし打球はその二人のグラブの先を掠めるようにライトへと抜けていった。

「やったぁ!!」
「ヒット出たぁ!!」

莉愛以外についにヒットが出たことで明宝ベンチは大盛り上がり。そして一塁に出た恵を見てすぐさまベンチが動く。

「莉愛、翔子、任せるぞ」
「はい!!」

タイムをかけ一塁へと走り出すのは背番号19を着けた黒い髪を長く伸ばした少女。恵とハイタッチをして入れ替わる彼女にカミューニは目を細める。

「またデータがない奴……確か一年生だよな?」
「はい、5人入っているうちの一人です」

この場面での代走で考えられるのは二通りの考え方。一つは盗塁でチャンスを拡大できる選手。もう一つは当たっている莉愛が長打を打った場合、一気にホームまで来れるベースランに長けた選手。

「3点差で盗塁はリスキーだと思うが、あいつが長打を打てるかと言われると微妙だよなぁ」

誰に言うでもなく呟くカミューニ。しかし莉愛はソフィアに相性がいいと考えると、大きい当たりではないものの野手の間を抜けていく打球を打つ可能性は十分にある。

(そもそも走られたらリュシーの肩では刺せねぇか……ソフィアもクイックは得意じゃねぇし、バッター集中でいいよ)

昨年の登板過多で肩を壊したリュシー。マウンドにはこの春から野球を始めた未経験者。もし相手から盗塁に優れた選手である場合は阻止しようがない。ならば捨てると割り切るカミューニ。

(一応ストレートを外角に)
(クイックなんて久々かも)

カウントを取ることを最優先に、ただし無警戒というわけにはいかない。一度牽制を挟んでから、この試合初めてとなるクイックで投球に入る。

「「「「走った!!」」」」

様子見することもなく初球から盗塁を試みる翔子。ある程度想定していた事態ではあるが、それでもこの積極的な動きにカミューニは驚いている。

(3点差の最終回で打席には当たっている城田。普通ならじっくり行くところなのに迷いなくリスクを背負ってくるたぁ……)

バッテリーがランナーがいる状況に慣れていないことを察していた真田は初球から仕掛けることを決めていた。そしてその予想通りだった。ここまで無双を続けてきたバッテリーは綻びが見えた。

決して早くないクイック、投球こそストレートだったもののストライクに決まっている。おまけに打者は左で送球の邪魔になる上に二塁へと送球したリュシーのそれはコントロールこそ完璧だったものの、強いとは言えないもの
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