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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
146話:奇跡は望まず掴むもの
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ッ!? 藤尭君ッ!』
『被害予測、開始していますッ!』
『エネルギー臨界点到達まで、あと60秒ッ!?』
『このままでは半径12キロが爆心地となり、3キロまでの建造物は深刻な被害に見舞われますッ!』
『ぬぅぅ……!?』
『まるで、小型の太陽……』

 それは妄執の残り滓か、それともキャロルに己の全てを託したハンスの行き場を失くした執念の賜物か。

 ハッキリしている事は、このままここに居ては全員諸共に吹き飛んでしまうという事。そう、キャロルすら巻き込んで。

「ふふっ……結局、こうなるのか。すまない、ハンス……こんな事に付き合わせて……」

 もう自分でもどうしようもない状況に、キャロルは全てを諦め運命に身を委ねようとしていた。

 だが諦めないものが、奇跡を信じ、希望を掴み取ろうとする者がここに居た。

「ガルド! 響ちゃん連れて引っ張ってけ! 透は下の馬鹿を何とかしろ!」
「待てハヤト、お前はどうするんだ!?」
「あれ放っておけるかよ!」

 このままでは確実にキャロルが獅子機と共に吹き飛ぶ。それよりも先に、獅子機を何とかするか最悪キャロルだけでも助け出す。

 それが成功するかは大きな賭けだろう。既に秒読みは始まっている。しかし、諦めるのはまだ早いと颯人は信じて疑わなかった。

 奇跡とは、口を開けて待っていれば入ってくるようなものではない。己の力で手を伸ばし、全てを賭けた先に手に入る希望の事なのだ。ならば、奇跡を生み出す者としてここで諦めると言う道理はなかった。

 崩壊しつつある獅子機に向けて飛ぶ颯人。全力を出し切り既に限界の響もそれに続こうとしたが、それはガルドに止められ引っ張られていく。

「あっ!? 待ってくださいガルドさんッ!? キャロルちゃんがッ!?」
「キャロルの事はハヤトに任せろ! お前は十分頑張った!」
「でも……!?」

 まだ自分に出来る事はあると、そう願う響ではあったが気持ちに反して体はガルドの言う様に既に限界だった。1人の体に装者7人分の力を乗せたのだ。寧ろ無理が来ない方がどうかしている。

 自分の力ではここまでが限界なのかと、キャロルを助ける一助にはなれないのかと涙を浮かべる響。その響と入れ替わる様にキャロルへと近付いていく者が居た。

「ッ! 奏さんッ!」
「なっ!? 待てカナデッ!?」

 響と入れ替わる様にキャロルの方へと向かったのは、インナー姿の奏であった。彼女は颯人が1人獅子機へと向かうのを見た瞬間、翼達の制止を振り切って駆け出していたのだ。

 その姿から、響は奏が颯人と共にキャロルを助けようとしているのだと察した。だから…………

「奏さん、受け取ってくださいッ!!」

 響は己が纏うシンフォギアを、7人分の装者の力が
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