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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
146話:奇跡は望まず掴むもの
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ばれようとしていた筈のハンスが何時の間にかキャロルを見上げていた。キャロルを求めるように手を伸ばした、彼のその顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。
「きゃろる…………おまえは、なにがあっても、おれが…………おれは、きゃろるを…………」
己の全てを焼き尽くしてでも、キャロルに尽くそうとするハンス。その姿に、キャロルは漸く人間としての自分を取り戻す事が出来た。皮肉な事に、全てを燃やし尽くして全てを破壊しようとしている最愛の人物を見た事で、漸く思い留まる事が出来たのだ。
「あ、あぁ……!? もういいっ!? 止めろハンスッ!? これ以上は、もういいからッ!?」
獅子機の中で叫ぶキャロルであったが、既に彼女の言葉は彼に届いていない。最早彼は己の中に残された愛と妄執だけで動き、キャロルに与えた魔力を使って全てを破壊しようとしていた。
どうすれば止められるか。そう考えたキャロルの目に、拳を握った響の姿が映った。
「立花響ッ!? 俺を止めろッ!? 止めてくれぇぇぇぇッ!!」
「ハァァァァァァァァッ!!」
キャロルの叫びが届いたのかどうかは分からない。だが響は、自身を巨大な拳として獅子機に突撃。ハンスの全ての魔力と想い出を乗せた一撃を正面から受け止め突き進む。
拮抗する拳と砲撃。だがあと一押し足りない。
ならばッ!
「立花に力を、アメノハバキリッ!」
「イチイバルッ!」
「シュルシャガナッ!」
「イガリマッ!」
「アガートラームッ!」
「ダメ押しの、ガングニールだッ!」
6人の装者の力を全て受けて、響の力が強化される。
だがそれでも、まだあと少し足りない。もうあと一押しで突き破れると言うのに、その僅か一歩が押しきれなかったのだ。
「あと、もう少しなのに……!?」
「だったら俺達の出番だッ!」
恐らく今の獅子機に味方しているのは、キャロルの錬金術に上乗せされたハンスの魔力。錬金術と魔力を合わせたのが今の獅子機の強さなら、こちらも魔法の力を上乗せしてやるとばかりに颯人たち3人の魔法使いが響に続いた。
巨大な拳を押し込むように放たれる3人の蹴り。その蹴りに乗せられた魔力が響の力を増幅させ、獅子機の砲撃を突き破る力となる。
「アァァァァァァァァァッ!!」
仲間たちの力を受け、一つとなった力を手に響の拳が遂に獅子機を砕き、キャロルの元へと届いた。
巨大な拳が獅子機の顔面を粉砕し、拳自身も砕け散る。獅子機全体にも罅は広がり、これで終わりかと思われた。
だがその時、徐々に空中に上がっていく獅子機から光が漏れだした。それが何を意味しているのかを、本部で計測していた了子達が教えてくれた。
『マズイわ……行き場を失ったエネルギーが暴走してる
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