暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
146話:奇跡は望まず掴むもの
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がどれほど恵まれているかを理解した。諫め、宥め、そして世界の光を見せてくれる存在と出会えた事は、彼女達にとってこれ以上ない程の幸運であった。

 だからこそ、キャロルの事を救いたい。悲しみと苦しみを、傷を舐め合う事でしか癒せなかったキャロルに、世界は優しい光で溢れている事を教えてあげたかった。

(救ってあげなきゃな……何せアタシも救われた身だッ!)

 誘導レーザーで空中のアルカノイズを一掃しながら、クリスは決意する。その最中、弾幕をすり抜けて近付いて来たアルカノイズ。
 だがクリスは微塵も危機感を感じていない。感じる必要が無かった。だって彼女には、必ず自分を助けてくれるナイトが居るのだから。

 そのナイトである透が、近付くアルカノイズに飛び掛かり手にした剣で真っ二つに切り裂いた。自力で飛ぶ能力の無い透は、アルカノイズを切り裂けばそのまま重力に引かれて落ちてしまう。普段であればライドスクレイパーを取り出し落下を防ぐなりするのだが、今はその必要がない。
 だって彼には、常に傍で支えてくれる最愛の歌姫が居るのだから。

 落下しつつある透の下に、クリスが潜り込み飛行ユニットで彼を受け止めた。その瞬間2人は顔を見合わせ、クリスの顔には笑みが浮かんだ。透の顔は仮面で隠れているが、彼も笑っている事がクリスには分かった。

(その為であれば、奇跡を纏い、何度だって立ち上がって見せるッ!)
(奇跡を力に、希望を掴むッ! アタシ達にならそれが出来るッ!)

 翼は鞘も刀に変え、両足に巨大な刃を形成し空中の大型ノイズを三枚に下ろした。その横では奏が槍を巨大な砲身に見立て、チャージしたエネルギーを放ち砲撃で小型も大型も構わず一掃している。

 恐らくこの中で、奇跡と希望を誰よりも信じているのはこの2人だ。奏は颯人の存在を希望とし、彼が起こす奇跡により何度も助けられ、翼はそれを間近で見てきた張本人である。この2人が奇跡と希望を信じるのは、ある意味で当然の事であった。

(その為に私達はッ! この戦いの空に、唄を歌うッ!!)

 もう彼女達だけでアルカノイズは一掃されてしまいそうな雰囲気に、オールドラゴンの颯人とコスモスタイルのガルドは感心したように眺めていた。

「あ〜あ〜、皆張り切っちゃって。俺達の出番無くなるじゃんよ」
「何を言ってる。出来る事はまだ残っているだろう」
「そりゃそうだ。男の俺らがここで頑張らないと、立つ瀬無いしな」
「そういう事だ。行くぞッ!」
「はいよ、っと」

 2人は腕をぶつけ合わせると、一直線にキャロルに向けて飛んだ。攻撃をアルカノイズに任せて後方で沈黙しているキャロル。彼女がただ黙っている訳がない。アルカノイズ達は囮であり、本命はその間にエネルギーをチャージする事にある。颯人はそれを見
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