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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
146話:奇跡は望まず掴むもの
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集ったギアを奏に託した。もう自分はここまでだが、自分の想いは奏が引き継いでくれる。その信頼が、彼女にこの判断をさせた。
「サンキュー、響! 颯人ッ!!」
その身に再びギアを纏った奏は、飛び立つと颯人と共に獅子機へと向け突撃した。
「奏、お前……!?」
「今更戻れとか無しだッ! 今は何としてもッ!」
「あぁ、そうだな!」
2人並び、獅子機へ向け飛び立つ。この時点で臨界まで残り30秒を切っていた。
その時、獅子機の崩壊により起きた爆発でキャロルが弾き出された。弾き出された時点でダウルダブラとの繋がりが解けたのか、その姿は少女のものへと戻っていた。それを見て2人はすぐさま進行方向を変え、無防備なキャロルを受け止めようとした。この状況、避難が済んだ街はともかく、生身のキャロルが爆発に巻き込まれたら目も当てられない事になる。
追いすがる颯人と奏。その姿をキャロルは諦めた目で見つめていた。
「無駄な事を……この世界に、奇跡も希望も無い。魔法だって、全てを壊す事しか出来ないんだよ」
「それは違うッ! 奇跡も魔法も、ここにある!」
「お前を今まで守って来たのは、ハンスって奴が魔法で守ってたからだろッ!」
「何でハンスがそこまでお前の為に身を削れたのかを考えろッ!」
「アイツが、お前を希望にしてたからだッ! お前がアイツの希望なんだよッ!」
「「そのお前が、そんな簡単に生きる事を諦めるなッ!!」」
その瞬間、手を伸ばしてきた颯人と奏の姿がキャロルには違って見えた。
キャロルの目には、亡き父とハンスがキャロルに手を伸ばしている光景が確かに見えていたのだ。
『キャロル……』
『キャロル……』
「パパ……ハンス……!」
『キャロル……世界を識るんだ』
「パパ……!」
『お前は、俺が守るからな』
「ハンス……!」
『何時か人と人とが分かり合える事こそが、僕達に与えられた命題なんだ』
『お前が居てくれたから、俺は生きる希望を得られたんだ』
「うん……!」
『賢いキャロルには分かるよね……そしてその為にどうすればいいのかも』
『愛してるぜ、キャロル……』
「パパぁぁぁぁっ! ハンスぅぅぅぅっ!」
涙を流して、キャロルは伸ばされた二つの手を掴み取る。
そしてその直後、臨界点に達した獅子機が爆発。強烈な閃光と爆炎が周囲を包み込んだ。
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