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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
146話:奇跡は望まず掴むもの
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った。
その口惜しさ、寂しさ、悲しさが、全て燃料となってキャロルの激情を燃やした。
「キャロルちゃん、泣いて……」
「奇跡とは、蔓延る病魔にも似た害悪だッ! 故に俺とハンスは殺すと誓った。だから俺は、奇跡を纏う者にだけは負けられんのだッ!!」
キャロルがアルカノイズの召喚結晶を周囲にばら撒いた。その数は今までの比ではなく、小型だけでなく大型のアルカノイズまでもが次々と出現し周囲の街を埋め尽くした。
「何をしようとッ!?」
「この数、不味いぞッ!?」
この状況の危険性は現場だけでなく、本部にも伝わった。マップ全体に蔓延るアルカノイズの反応は、それだけで悪夢のような光景である。
「キャロルはッ!?」
「これほどまでのアルカノイズを……」
「チフォージュ・シャトーを失ったとしても、世界を分解するだけなら不足はないという事かッ!?」
「いえ、そうではないでしょう」
その光景に圧倒され、危機感を抱く弦十郎達。だがアルドだけは、状況を冷静に分析しその本質を見極めていた。
「端的に言えば、キャロルは自棄になっているだけです」
「自棄に?」
「これまでにキャロルは相当な量の想い出を焼却している筈です。例え300年分の想い出があろうと、ここまで酷使すれば何時限界が来てもおかしくありません。あれも、鼬の最後っ屁に近い足掻きでしょう」
「それは、つまり……」
「そうです。恐らくキャロルは、例え世界を分解できなくとも一矢だけは報いようとしているのです」
キャロルは決して馬鹿でも愚かでもない。この状況で自分だけが圧倒的有利なんて考える程楽観的ではないだろう。まず間違いなく颯人達の、それも普段を遥かに超える力での妨害に遭う筈。その妨害を乗り越えて、世界を分解できるかと言われれば否だ。例え颯人達を退ける事が出来たとしても、そこで限界が来て世界の分解を果たすことなく終わってしまう。
つまりキャロルの目的は、世界ではなく颯人達。例え世界を分解できなくとも、道連れに1人でも地獄に引き込もうと言うのだ。失うものがもう何もないからこその判断。それがどれほど危険で厄介かは、彼女達も良く知っている。
「キャロル……うぅっ!?」
そのキャロルの足掻きを見て、エルフナインが静かに涙を流す。それはキャロルの慟哭を見て、彼女を憐れんでの涙か。それとも本来不可逆の感情の流入により、キャロルに感化されて流した物か。
いずれにせよ、そのエルフナインの涙を見て洸が黙ってはいなかった。
「響……響ッ!」
「その声、お父さんッ!?」
まさか洸が本部の、それも発令所に居るとは思っていなかった響は通信機から聞こえてくる声に面食らった。
『響ッ! 泣いている子が、ここに居るッ!』
「…………あ
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