雷藤 頼斗
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
先は気を失ってしまった。
俺は病院で目覚めた。
全身の激痛。
だが、そんな痛みより先に俺を動かしたのは。
「真紅は!?遥香は!?」
バッ!!っと起き上がりナースコールを押す。
「目が覚めたんですね」
先生と思われる髭に生えた男性。
俺は二人に安否を尋ねる。
「………………………」
「お、おい…。何でそこで黙るんだよ…?」
俺の心臓がざわつく。
「…奥さまは即死でした」
「…………………は…?」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
「嘘だ!!は…、遥香が…そんな…………。し、真紅は!?真紅は無事…なんだよな…?」
「………………生きてはいます」
何だよ、その含んだ言い方。
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!
「ふざけるな!!はっきり言え!!」
「心膜損傷、心膜炎です」
「な、何だよそれ…………」
「心膜損傷は、交通事故や高所からの転落により、相当大きな外力や剪断力が胸部に動いた時に発症します。今回の凄まじい衝撃で心膜に炎症が起き、心膜炎と呼ばれる症状になっています。…しかも相当ひどい」
「…………何でこうなった」
「相手トラックの飲酒運転です…」
「……殺す。殺してやる…!!連れてこい!!」
俺はもうそれしか出来なかった。
初めてだった。憎しみで前が見えなくなったのは。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ