雷藤 頼斗
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「「「はーーーーーーーーい!!!」」」
「それは良かった!」
「また来てねおじさん!!」
「おう!孤児院にも俺がボールをいっぱいあげたから、いっぱい遊んでくれよな!!」
「ありがとうおじさん!!」
「おじさーんまたねー!!」
子ども達が俺に大勢で手を振る。
俺は笑顔で手を振り返し返事する。
「ああ、またなー!」
吉良さんも顔を出し俺に声をかける。
「頼斗くんありがとう。子ども達に楽しい遊びを教えてくれて」
「いえ、俺が教えられるのはこの遊びくらいですから。俺はサッカー一筋でしたからね」
「とんでもない元プロ選手の頼斗くんから直接サッカーを教えてもらえるなんてあの子達も嬉しいと思いますよ」
「そうでしょうか…」
俺は照れたように頬をかく。
「あの子達には俺が見れなかった景色を見て欲しいんです」
「景色?」
俺は吉良さんの言葉に頷く。
「俺は確かにプロ選手でした。あの子達の中からもしプロサッカー選手が産まれたら俺の見れなかった世界を見て欲しい」
吉良さんは俺の言葉に微笑む。
「あの子達なら見せてくれますよ夢を。あなたの息子さんもそうでしょう?」
吉良さんの言葉に頷く。
「ええ、俺の息子…真紅にもこれから辛いことが沢山待っているだろうけど、あの子達と世界を見て欲しい。いや、世界を取って欲しい!」
「世界を取るですか…!大きく出ましたね!」
「俺は怪我で現役を引退してしまったんで、無理しない程度に頑張って欲しいですね」
そんな会話をしながら俺は孤児院を後にした。
「楽しい時間とはあっという間だ」
俺はふと呟く。
「父さーん!!」
「待たせたな」
俺は家族の元へと着いた。
「あら?何か楽しいことがあったあなた?」
遥香も温かい言葉で俺を迎える。
タクシーを拾い、道を走って行く。
「真紅も負けてられないぞ?孤児院の子たちすっごく上手くなってたんだからな!」
「ええ!?俺ももっと練習しなきゃ!!」
「そんなに騒いだら運転手の方も迷惑でしょ!?すみません本当に…」
遥香が申し訳なさそうに運転手に謝る。
「いいんですよ、楽しそうに家族で乗って下さるほど、年寄りのタクシードライバーにとって微笑ましいことはないですから」
タクシーの運転手も微笑ましそうに俺たちと話す。
赤信号で止まり、青になったのを確認。
運転手がアクセルを踏み進んでいく。
いつになっても、事故というものは突然なのだ。
グァァァァン!!グジャ!!パリィィィン!!
一瞬のことだった。
俺の視界には運転席が凹んだ跡。
足元が光る。………血だった。
そこから
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