第八十五話 夕食もその十二
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「幸い別の恋人と出会えてずっと支えてくれるお友達がいたけれど」
「その振られ方がね」
「無茶苦茶酷いでしょ」
「そういえば何処か似てるわね」
同級生は考える顔で応えた。
「あの人と太宰のお伽草紙のかちかち山って」
「流石に殺されてないけれどね」
「酷い振る相手を徹底的に傷付ける振り方をされたっていうのは」
「同じでしょ」
「そうよね」
「いや、告白を断るにしてもね」
つまり自分を好きな相手を振るにもというのだ。
「やり方があるわね」
「それね」
同級生も応えた。
「相手は傷付けるな」
「それ絶対よね」
「それ位の気遣いがないと」
さもないと、というのだ。
「報い受けるわ」
「というかこの兎はサイコパスで」
咲もこう言った。
「遠井さんを振った人外見は知らないけれど」
「性格悪いみたいね」
「神戸の方じゃそれで有名らしいわよ」
本校ではというのだ。
「性格ブスでね」
「まあ性格悪くないとね」
「告白する人を傷付けるみたいなね」
「そんな振り方しないわね」
「いい人ならね」
性格がというのだ。
「ちゃんと気遣って」
「そうしてね」
「そのうえでね」
さらにというのだ。
「離れるわよ」
「そうよね」
「本校のその人は嫌われて当然で」
性格が合悪い為にとだ、咲は言った。
「かちかち山の兎も将来はね」
「嫌われるわね」
「だって自分を好きになっただけの狸をそこまで酷く殺せるのよ」
それならというのだ。
「皆お付き合いしたくないでしょ」
「お友達でもね」
「自分勝手な都合でね」
「何するかわからないわね」
「平気であそこまで残酷なことをするなら」
かちかち山の兎の仕打ちをそのまま話した。
「誰が付き合うのよ」
「そうなるわね」
「あんたも嫌でしょ」
「ただ嫌いな相手を嬲り殺しでしょ」
同級生は鍋の中の鶏肉を見つつ応えた、見ればカレーの色が付いてきていて程よく煮られだしている。
「お友達でもよ」
「本当に自分勝手なね」
「その都合でね」
「何をするかわからないでしょ」
「ええ、だから」
「それよね」
「絶対に付き合いたくないわ」
咲に強い声で答えた。
「何があってもね」
「そうよね、私だってね」
「付き合いたくないわね」
「性格が悪いどころかね」
「サイコパスだとね」
「何時何をされるか」
それこそというのだ。
「わからないわよね」
「ええ、しかし何で狸ってそこまで書かれたの?」
同級生はここで首を傾げさせて包丁やまな板を洗っている咲に尋ねた。
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