第六話 封印その五
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「そうする」
「では」
「またな」
「お待ちしています」
丁は心で背を向けた神威に礼儀正しく述べた。
「そしてどうかです」
「世界をだな」
「お救い下さい」
「ああ、封真のところに戻る」
「封真。桃生家の」
「知っているのか」
「はい」
神威のその問いにも答えた。
「彼のお父上のことも」
「おじさんもか」
「ですが」
ここで丁はこうも言った。
「おかしいのです」
「おかしい?何がだ」
「あの方は死ぬ筈でした」
「今回のことでか」
「そうなる運命でしたが」
「運命か」
「ここでそうなる筈ですが」
それがというのだ。
「重傷でも命に別条がないとは」
「おかしいか」
「はい、どういうことでしょうか」
「運命が変わったか」
「その様です。面妖な」
「待て、そうだとするとだ」
神威は護鏡の運命が変わったと聞いてだ、再びその目を鋭くさせた。そのうえで丁に対して言った。
「小鳥もか」
「助かるかも知れないと」
「違うか、それは」
「わかりません、運命は二つです」
「天の龍か地の龍か」
「どちらかの筈ですが」
「そしておじさんはか」
また彼のことを言った。
「ここでか」
「お亡くなりになる筈だったのに」
「運命が変わったか」
「どういうことなのか」
「詳しいことはわからないが運命は変わるか」
神威は詳しいことはわからなかった、だが。
運命についてこう認識ンしてだ、そのうえで小鳥に話した。
「わかった、そのことも含めてだ」
「お考えになりますか」
「そうしていく、そしてだ」
「結論を出されますか」
「そうする、また機会があればな」
「夢の中に出てもいいでしょうか」
「勝手にしろ、ではな」
「はい、また」
これで話を終えた、そしてだった。
神威は空汰達に向き直ってだ、こう言った。
「少し待ってくれるか」
「その間にやな」
「考えてだ」
空汰にもこう答えた。
「結論を出す」
「わかった、ほな待っとくわ」
「済まない」
「ただ困った時は何時でも来るんや」
笑ってだ、空汰は神威に暖かい声で告げた。
「力になるからな」
「そう言ってくれるか」
「わい等は仲間やからな」
「俺はまだ決めていないが」
「それでもや、心の友ちゅうやつや」
暖かい笑顔のまま神威に告げた。
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