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第六話 封印その四

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 目の前でだ、十字架にかけられた目を閉じ悲しい顔で俯いている小鳥がいた。見れば。
 十字架の上に立つ神威がいて。
 悪意と残虐に満ちた笑みを讃えた彼が両手に逆さに持つ巨大な剣に胸を貫かれそれと同時に身体が無惨に無数に切り裂かれ地面に落ち。
 首だけが神威の前に転がった、涙を流したその目を見てだった。
 神威は項垂れてだ、丁に問うた。
「小鳥を殺したのは血の龍を選んだ俺か」
「はい」
 丁は俯いて答えた。
「貴方が地の龍になればです」
「小鳥を殺すか」
「そして天の龍になれば」
「小鳥が殺されるのを見るか」
「そうなりますか」
「そうか」
「どちらかです」 
 そうなるというのだ。
「貴方は」
「・・・・・・運命は変わりません」
 丁は悲しい顔で述べた。
「選べば」
「それでか」
「そうなります」
「どちらかか」
「左様です」
「そしてどちらでも小鳥は死ぬか、いや」
 ここで神威は気付いて言った。
「俺は認めない」
「ですが運命は」
「逃れないがどうして俺が小鳥を殺すんだ」
 地の龍を選んでというのだ。
「それがわからない、俺は絶対にだ」
「その方をですか」
「守るんだ、だからだ」
「ですがその時は」
 地の龍の未来を選べばというのだ。
「貴方は」
「どういうことなんだ、一体」
 神威はわからなくなった、だが。
 丁にだ、必死の顔で問うた。
「未来はまだあるか」
「二つのですか」
「ああ、見せられるそれは」
「まだこれだけしかわかりません」
 丁は悲しい顔で答えた。
「申し訳ありませんが」
「そうなのか」
「はい、わらわの夢見では」
「・・・・・・わかった」
 神威は苦い顔になって応えた。
「そのこともな」
「そうですか」
「少し考えさせてくれるか」 
 神威は項垂れたまま丁に言った。
「絶対に選ぶからな」
「未来を」
「それまでの間だ」
 是非にというのだ。
「考えさせてくれ」
「わかりました」
 丁も頷いて応えた。
「それでは」
「待ってくれ」
「ではこれで」
「終わりか」
「貴方に今お見せすることは」
「そうか」
「もっと言えばお見せ出来ることは」
 それはというのだ。
「わらわが見た限りは」
「わかった、じゃあな」
「お考えになって」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
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