新兵編 ウルトラルーキーファイト 後編
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はやセクハラどころの騒ぎではない。その燃え滾るような執念は怪獣や異星人に向けてくれ、というのが彼女達に共通している率直な感想であった。
「本当に……困ったものです」
勇猛さと引き換えに品性を欠いてしまっている隊員というのは、どこの国にも居るものなのだろう。イヴァンナは日本に来ても絶えることのない獣欲塗れの視線に、ため息を吐くばかりであった。そんな彼女の背を後方から見つめる「2人の男」は、互いに顔を見合わせている。
――ロシア支部戦車大隊の司令官を父に持つ、名門出身のエリート。そんなイヴァンナを含む、各国支部から日本に集まって来た精鋭達の主任務は、怪獣災害が特に頻発している日本支部に自国の兵器を供与し、その運用方法を教導することにある。
彼女の後ろを歩いている2人の男性は――その供与を決定した、「上層部」の人間であった。
「ふふっ……それにしても確かに、あそこの訓練場は特に騒がしいな。しかし、無理もあるまい。何しろ、あの伝説の隊員・風祭勇武を輩出した日本支部の隊員なのだ。さぞかし凄まじい試合を繰り広げているのだろう。かつては我がイギリス支部にも、風祭の雷名が轟いていたものだ」
「新たな怪獣頻出期と言われている今の時代でも彼が健在だったならば、各国支部の隊員達の士気も、より高まっていただろうな……。彼の教導が無ければ、我がフランス支部の陸戦歩兵部隊も、今ほどの練度には達していなかったことだろう。実に残念だよ」
整然とした青い軍服を纏うイギリス支部の艦隊司令官と、緑色の軍服に袖を通したフランス支部の陸軍司令官。彼ら2人は肩を並べてイヴァンナの後に続いており、それぞれの胸に飾られた幾つもの勲章が、その経歴と名声の凄まじさを物語っている。
そんな2人の高官がイヴァンナと共に歩んでいる、ガラス張りの渡り廊下。その外側からは戦術輸送ヘリのローター音が響き続けており、機内にはフランス支部とイギリス支部を中心とする歩兵達が待機しているようだった。どうやら、ヘリの着陸に合わせた突入訓練の最中らしい。着陸と同時にBURKガンを構えて飛び出して来た屈強な男性隊員達は、まるで機械の流れ作業のようなスムーズな動作で地上を移動している。
さらにその中には両支部の隊員達だけでなく、元調査隊メンバーの士道剣隊員、手力握人隊員、日ノ出新隊員、木場司隊員、多月草士郎隊員の姿もあった。叶亥治郎隊員と氷川雄一郎隊員は戦術輸送ヘリのパイロットを務めており、日本支部を代表する弘原海隊長が彼らを統率している。
そんな若獅子達の勇姿を一瞥し、かつて自国の隊員達を教導していた
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