第百三十三話 司馬尉、陣を語るのことその七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「その者達を好きなだけ喰らうがいい」
「ええ、そうさせてもらうわ」
司馬尉の血が濡れていた。赤くだ。
唇を塗らすその赤いものをだ。人のものとは思えぬ長く紅い舌で舐め取る。そうしてだった。
彼女はだ。また言うのだった。
「その為にも私の王朝を築くわよ」
「さて、それではです」
司馬尉が人の血を舐め摂るのを見届けながらまた言う于吉だった。
「私達も食事にしますか」
「そうだな。何を食う?」
「軽いものでどうでしょうか」
今はだ。それでいいというのだ。
「パンか何かで」
「パンか」
「はい、それを召し上がられますか」
こう左慈、古くからの同志に尋ねたのである。
「そうされますか」
「そうだな。それではな」
左慈もだ。腕を組んだうえで頷く。
そのうえでだ。于吉に返したのだ。
「今はそれで軽く済ませるか」
「ではその様に」
「十絶陣を敷きそのうえでだ」
あらためてだというのだ。
「奴等を迎え撃つとしよう」
「俺達のオロチも封印が解かれるな」
社はオロチの話をした。
「こっちの世界で解放して向こうの世界もな」
「そうだね。二つの世界をね」
「私達の世界にしましょう」
クリスとシェルミーがその社に続いて述べてだった。彼等もだ。
それぞれの飯を食う。闇の中でそうしたのだ。
光と闇の激突が近付いている様に見えた。しかしだ。
闇についてだ。言うのは玄武の翁だった。
翁は進軍中に玄武に乗ったままだ。周囲に話すのだった。
「闇は決して悪ではないのじゃ」
「えっ、違うのですか」
「そうやないんか」
「うむ、そうじゃ」
まさにそうだとだ。翁はアテナとケンスウに話すのである。
「光があれば必ず闇ができるな」
「はい、影になって」
「そうしてそこにできるで」
「それじゃ。表裏一体でありじゃ」
「悪とはまた違う」
「そうなのですか」
「しかしじゃ。そこに人とは違う考えが入る」
そしてそれこそがだというのだ。
「あの司馬尉なりオロチなりアンブロジアなりな」
「彼等の。独善や全てを滅しようという考えが」
「闇に入ってかいな」
「闇は悪となるのじゃ」
即ちだ。闇は悪ではないというのだ。
「同じことは光にも言えるのじゃ」
「では彼等が光に加わると」
「光が悪となるんかいな」
「そういうことじゃ。光も闇も善でも悪でもない」
それ自体にはだというのだ。光にも闇にもだ。
「何でもないことじゃ」
「そうじゃのう」
鎮もここで翁の言葉に頷く。
「全てはそこにある心じゃ」
「そういうことやねんな」
ケンスウは首を左右に捻り考える顔で述べた。
「善とか悪ってのは心からやねんな」
「そうなのね。じゃあバッタも心が悪なら」
アテナは自分の嫌いな
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ