第百三十三話 司馬尉、陣を語るのことその二
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「自分達に術を使えばね」
「問題ありませんね、連中にとっては」
「ええ、本当に」
「それならやはり」
これが夏侯淵の考えだった。
「そうして自分達の力を強める等をしてくるかと」
「むっ、それではだ」
今度は夏侯惇が来た。彼女もやはり馬上にいる。
そしてそこからだ。こう妹に述べたのである。
「例えば私の大刀に力を込めて余計に大きくしたり切れ味をよくしたりか」
「そうだ。それも考えられる」
「ううむ、それは厄介だぞ」
そう言われれば夏侯惇もわかった。それで言ったのである。
「私の大刀は只でさえ天下無双だというのに」
「他には分け身もある」
「忍の者達が使うあれか」
「例えばあのゲーニッツが同時に何人も出て来たらどうだ」
魔人の如き強さを見せるあの男がだというのだ。
「それはまさに脅威だな」
「確かにな。それはな」
「そういうことだ。妖術は相手に仕掛けるだけではない」
「自分にかけることもだな」
「色々とあるのだ」
こう話すのだった。
「無論その者がどういった術を使えるかが大事だが」
「それならまずいわね」
夏侯淵の話を聞いてだ。曹操の顔が曇る。そのうえでの言葉だった。
「敵にはあの于吉や司馬尉がいるし」
「はい、あの者達は様々な術を使います故」
「幻術もありますわね」
袁紹もだ。ここで言った。
「戦の時に惑わすということも」
「はい、それもあります」
「そうですわね。わたくし達に幻術を仕掛けずともいいですわね」
「その通りです。まことに危険です」
「そうした場合はどうするかね」
曹操は馬上で腕を組み考える顔で言った。
「少し考える必要があるわね」
「そうですわね」
袁紹も曹操のその言葉に頷きだ。そうしてだ。
進軍を止め休息に入りだ。天幕を敷いてからだ。
そのうえでだ。劉備の天幕に入りそうして話をするのだった。
「敵自身に仕掛ける妖術ね。そういえば」
「ええ、それは考えてなかったわよね」
「わたくし達も今まで」
「確かに。言われてみれば」
そのことにだ。劉備もやっと気付いたのである。
そしてだった。こう言ったのである。
「じゃあどうすればいいかしら」
「その場合は敵のその術を破ればいいのではないのか?」
今言ったのは袁術だった。彼女も劉備の天幕のところにいるのだ。
そしてだ。劉備達にこう言ったのである。
「わらわ達に仕掛ける術を破る時と同じでじゃ」
「そうね。それいいわね」
孫策がだ。袁術のその提案に頷く。
そしてだ。彼女も言うのだった。
「敵が怪しい時はね。そうすればいいわね」
「敵の術ならです」
「私達が絶対に見破るから」
「任せて下さい」
ナコルルにリムルル、それに命が応える。
「例えどうした術でも。
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