第七十二話 キャンバスライフその五十二
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「気をつけてね」
「人間の成長に際限がないことは」
「頭に入れておいてね」
「これで最高とかはないんですね」
「そうよ、幾ら勉強が出来ても」
それでもです。
「全国模試一位でも世界ではどうか」
「わからないですね」
「アインシュタインみたいになれるか」
「そう言われたら」
「そうでしょ。幾らホームラン打っても」
今度は野球のお話をしました。
「王さんより上か」
「八六八本でしたっけ」
「打てるか」
「それで汪さん以上に打ってもですね」
「千本打てても」
それでもです。
「まだ先があるでしょ」
「そうですね」
「何でも昔二千勝した人いるそうよ」
「サチェル=ペイジですか?黒人リーグの」
ここで新一君から言ってきました。
「二千五百試合に登板して二千勝した」
「知ってたの」
「本当かどうかわからないですけれどね」
公式記録ではないみたいです。
「信じられないですね」
「そうよね」
「五十九歳まで投げていたそうですし」
「殆ど超人ね」
「そうですよね」
「昔阪神に若林って人がいて」
それで、です。
「四十代まで投げていたそうだけれど」
「若林忠志さんですね」
「知ってるのね」
「はい、凄い人ですね」
「新一君野球にも詳しいのね」
「色々調べてまして」
一緒に神殿廊下を歩きながらお話をしました。
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