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イベリス
第八十五話 夕食もその五

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「けれど今はよ」
「普通に配慮されますね」
「日本でもね」
「そうですよね」
「だからカレーもよ」
「チキンカレーか野菜カレーですね」
「そうなるのよ」
「ですね、じゃあ作っていきましょう」 
 咲は野菜を切り続けつつ応えた。
「今から」
「それで皆で食べましょう」
「そうしましょう」
 こう話してだった。
 咲は合宿の参加者全員と調理をしていった、その中で男子も見たが。
 彼等の中には全く動かず他人に尊大な態度で押し付けている者もいた、咲は太って憮然とした顔で色白の黒髪を真ん中で分けた一年生を見て言った。
「あれ誰?」
「あれ吹奏楽部の中川よ」
 すぐにナイジェリア出身の同級生が言ってきた。
「全然動かないでしょ」
「他人には尊大でね」
「私あいつと同じクラスだけれど」
「いつもああ?」
「自分より下と見たらね」
「ああなの」
「悪態ばかりついてね、都合のいい時だけね」
 そうした時だけというのだ。
「下卑た笑顔でね」
「近付いてくるのね」
「人の鞄だって漁るし」
「嫌われてるでしょ」
「嫌いな相手からはね」
「いや、普通に付き合いある人いるの」
 咲はこのことに驚いた。
「そんな奴に」
「まあ別に何もされてない人はね」
「付き合ってるの」
「けれど嫌いな人からはよ」
「嫌われてるのね」
「俺あいつ嫌いと言われてね」 
 そのうえでというのだ。
「そうなのよ」
「成程ね」
「まあああした奴だってことはね」
「覚えておくことなのね」
「私は何もされてないけれど」
 同級生はその男子を見つつ話した。
「見てわかるでしょ」
「かなり嫌な奴ね」
「だから嫌いでね」
 それでというのだ。
「いなくなって欲しいってね」
「思ってるのね」
「いや、あいつ見てるとわかるわ」
「何がわかるの?」
「心だけでなく顔も醜い奴ってね」
「いるってなの」
「よく人を顔で判断するなっていうけれど」
 よく言われる言葉である。
「両方醜い奴もね」
「いるのね、いやそれってね」
 咲は野菜を切り終えてだった。
 その野菜を鍋に入れてだ、煮込みはじめてから話した。
「性格の醜さが人相によ」
「出てなの」
「それでね」
 その為にというのだ。
「どっちもよ」
「醜くなるのね」
「けれど生き方が顔に出るのって」
 それはとだ、咲はさらに話した。
「四十代からってね」
「そうなの」
「言われてるけれど」
「いや、あんまりにも醜い性格だとね」
「十代でもなの」
「出るんでしょ」 
 同級生は咲に話した。
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