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星河の覇皇
第八十三部第二章 撤退の果てにその三十二

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「食事すらだ」
「マウリア市民には食べさせられないですね」
「それすらも」
「そうなりますね」
「警戒も極端になるとな」
 そうなればというのだ。
「民主主義の限界を超えてだ」
「おかしなものになりますね」
「どうしても」
「そこまでなりますね」
「最早」
「かつてのソ連の様なだ」
 スターリンが支配し国の隅から隅まで秘密警察の監視が届いていたこの国の様になってしまうというのだ。
「そうした国になる」
「左様ですね」
「そうなるからですね」
「だからですね」
「警戒も徹底すると」
「異常の域に至りますね」
「ああなるとおかしくなるからな」
 国益を考えて警戒してもというのだ。
「匙加減だな」
「そのことですね」
「そうだ、結局だ」
 艦長は考えてこうも言った。
「守るよりもだ」
「攻めるべきか」
「そうすべきですね」
「ここは」
「彼等が技術を盗もうとするなら」
 それならというのだ。
「警戒はして余計な情報は渡さない様にするが」
「それは程々にして」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「より上の技術を開発してだ」
 そうしてというのだ。
「我々はよりだ」
「発展していくことですね」
「技術的にも」
「今以上に」
「そうすべきですね」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「マウリアもエウロパも追い付けない様にしていくべきか」
「常に走る、ですね」
 こう言ったのは航海長だった。
「彼等より先に」
「そうだ、マラソンで相手への最大の対策は何か」
「相手より速く走ることですね」
「そして相手が追い付けなくなるとな」
 その時はというと。
「最低でもそのままの速度でだ」
「若しくはより速度を出して」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「敵をさらに引き離す」
「そうしていくことですね」
「そしてだ」
「敵がもう無理だというまで突き放す」
「そうすればだ」
 それでというのだ。
「いい」
「そういうことですね」
「そうだ、ただマラソンはゴールがある」
 四十二・一九五キロ走る、このことはこの時代でも同じだ。
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