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星河の覇皇
第八十三部第二章 撤退の果てにその二十九

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「二十世紀までは言われていたな」
「そうでしたね」
「そこにキリスト教の信仰もなければと言われ」
「そしてでしたね」
「黄色人種や黒人種には産業革命後の技術は備えられない」
「そうした説が出ていましたね」
「実際に」
「そうだった、しかしだ」 
 この主張はどうかともだ、艦長は話した。
「すぐにそれは間違いだとわかった」
「まず日本でしたね」
「あの国が備えました」
「明治維新から工業化にも力を入れて」
「発展しました」
「そうなった、そして第二次世界大戦ではだ」 
 人類の大きな転機の一つになったとも言われているこの戦争ではというと。
「当時の最新鋭の文明の利器を駆使していたな」
「航空機や潜水艦を」
「そして戦車もでしたね」
「巨大な大砲も使用していました」
「ジェット機の研究、開発も進めていました」 
 ただしジェット機の実用化は間に合わなかった。
「そうなりました」
「黄色人種でしたが」
「そしてキリスト教徒は極めて少数でしたが」
「そうした国でもです」
「産業革命を実現し」
 そうしてというのだ。
「近代化を成し遂げ」
「欧州各国に匹敵する戦力を用意しました」
「そして戦いました」
「敗れはしたが白人が絶対と考えていたものをだ」
 まさにそれをというのだ。
「覆したな」
「産業革命後の技術はどういった人種でも持てる」
「そして使いこなせる」
「発展も出来る」
「そのことを証明し」
「そうしてでしたね」
「他の国も続いた」
 アジア系やアフリカ系の諸国家もというのだ。
「次々に近代化を達成してだ」
「発展していき」
「そうしてでしたね」
「むしろ欧州各国を凌駕していきましたね」
「二十一世紀以降は」
「そうなった、それを見るとだ」
 自分達の歴史上でのことをというのだ。
「必ずだ」
「エウロパもですね」
「彼等も同じですね」
「今の我々に技術的に追いつける」
「そうなりますね」
「技術の優位というものは数世代で変わる」
 そうしたものだというのだ。
「下手をすれば十年でな」
「その技術力の差にもよりますが」
「そうもなりますね」
「技術的な優位は絶対ではない」
「変わるものでもありますね」
「そうだ、そもそも根拠があったか」
 艦長は艦橋にいる周りの者達に問うた。
「欧州の近代技術は白人以外には身に着けられないという主張に」
「いえ、なかったです」
「それも一切」
「根拠は出されてもそれは人種的偏見でした」
「偏見に基づくものでしかありませんでした」
 周りの者達も艦長に答えた。
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