第八十四話 合宿その十二
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「そうだったのよ」
「完璧主義者だったのね」
「作者さんはね」
同級生は確かな声で話した。
「凄いことだけれど」
「連載は進まなくて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「三十年は続いても」
「終わらなくて」
そうしてというのだ。
「遂にだったのよね」
「お亡くなりになったわね」
「そうなるんじゃないかってね」
作者が執筆中に亡くなることがというのだ。
「言われていたけれど」
「そうなって」
「いや、本当にね」
咲はさらに言った。
「私作者さんがお亡くなりになったって聞いて」
「未完になるかって」
「本気で心配になったわ」
「私もよ」
同級生もそれはと言った。
「いや、作者さんお亡くなりになったら」
「終わりよね」
「アメリカじゃ違うらしいけれど」
「あっちじゃ著作権出版社が持ってるのよね」
「そうみたいね」
「アメリカからの子達に聞いたら」
「それでね」
その為にというのだ。
「作者さんがお亡くなりになっても」
「続くのが普通よね」
「スーパーマンだって」
アメリカを代表するこのヒーローを描いた作品もというのだ。
「作者さんがお亡くなりになって」
「それで一回終わったけれど」
「別の作者さんが描いて」
それでだったのだ。
「連載再開してね」
「続いたのよね」
「ええ、けれどね」
「日本だとね」
咲は自分達の国の話をした。
「著作権は作者さんが持っていて」
「だから出版社変えての連載もね」
「アメリカより簡単みたいだけれど」
それでもというのだ。
「逆に言えばね」
「その作品みたいにね」
「作者さんがお亡くなりになると」
「未完の危機にね」
まさにそれにというのだ、同級生が言うこの事態は作品にとって最悪の事態であることは言うまでもない。
「瀕するのよね」
「そうなのよね」
「それがこの作品もで」
「どうなるかって思ったけれど」
「実際未完の作品ってあるしね」
「手塚治虫先生の作品だってね」
この昭和を代表する巨匠にもというのだ。
「あるしね」
「あの人は執筆中にお亡くなりになったのよね」
「癌でね」
「ずっと相当無茶な人生送ってて」
「ずっと仕事仕事で」
一日平均四時間の睡眠時間で徹夜もざらだったという。
「そんなのだったから」
「過労死って言われる位で」
「未完の作品もね」
何と病床での下書きで終わっている作品すらある程だ。
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