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第五話 神剣その十

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「俺は頑なになり過ぎていたか」
「そやから言うやたろ」
 空汰はやれやれといった顔で神威に応えた。
「わいは悪い奴やないってな」
「そうだったか」
「そや、人の話は聞かんとな」
「そうだな、これからそうする」
「そうしてくれたら助かるわ、ほな救急車が来たらな」
「おじさんをだな」
「連れて行ってもらおうな」
 病院にというのだ。
「そっちにな」
「そして俺達もだな」
「ああ、病院に行くで」
「救急車が来てくれたわ」
 嵐は外を見てそこにいる一同に話した。
「今境内に」
「ああ、もうか」
「ではね」
「ああ、これで一安心やな」
「後はお医者さん達にね」
「任せたらええな」
「そうよ、ではね」
「一緒に病院行こな」
 こうも話してだった。
 護鏡を救急車に乗せてもらい一同もその救急車に乗せてもらって病院に向かったが封真だけは小鳥を待ってだった。
 彼女に事情を話して後で病院まで急行した、そしてだった。
 兄と一緒に病院に着くとだ、小鳥は手術室の前にいる神威の方に駆け寄ってそのうえで状況を問うた。
「お父さんは」
「今手術は終わった」
 神威は小鳥に正直に答えた。
「そして無事だ」
「そう、よかった」
「元々傷は深く出血も多かったが」
 それでもとだ、神威は小鳥に話した。
「命に別状はなかった」
「不幸中の幸いね」
「ああ、だが傷は深いからな」
 このことは事実でというのだ。
「暫く入院が必要だ」
「そうなのね」
 小鳥はほっとしてから暗い顔になった。
「それじゃあ」
「その間はな」
「私達二人でね」
 兄に顔を向けて話した。
「何でもしていかないと」
「そうだな、母さんもいないしな」
「一緒にね」
「おばさんか、懐かしいな」
 神威は二人の母のことを聞いて述べた。
「もうな」
「ああ、亡くなった」
 封真が答えた。
「残念だがな」
「そうだな」
「お母さんが亡くなったのは」
 小鳥は不思議そうに話した。
「どうしてだったかしら」
「ああ、それはだ」
 封真は一瞬視線を右にやってから答えた。
「事故だった」
「そうだったのね」
「交通事故でな」
「それでだったのね」
「そうだ、残念だった」
「そうよね」
「小鳥はもう家に帰った方がいい」
 封真は妹に優しい声でこうも話した。
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