見滝原大学
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ん。この街を歩いていくよ。お金もないし」
「思ってたよりも生々しい……」
ハルトは苦笑しながら、友奈に渡していたヘルメットをシートの下に収納。
「じゃ、俺は行くね。また」
ハルトと友奈はそれぞれ手を振り合い、それぞれの行先へ急いだ。
見滝原大学。
見滝原の中でも特に都心部である見滝原北、その中でも見滝原中央よりの場所に、その大学はあった。
「これが……学校? でかい……」
日本中からも学生が集まるだけあって、そのキャンパスも広大だった、
大きな校門から、長いスロープが敷地中心まで続いている。スロープの左右には、木々や植え付けが配備されており、見滝原公園にも匹敵する緑の濃度がある。そこからさらに左右に入って行けば、それぞれ多種多様な建物が所せましとならんでおり、その合間を色とりどりの学生たちが行き交っている。
「おお、皆活き活きしているなあ」
希望にあふれた表情を見せる学生たち。
彼らに眩しさを感じながら、ハルトはぶらぶらとキャンパス内を歩き回る。
「そろそろ終わるころなのかな?」
春の夕方までまだ時間がある。にもかかわらず、この人数ということは、もう授業はないのだろうか。
その時。
「そこのお兄さん」
背後から、ハルトを呼び止める声があった。
振り向けば、そこにはハルトと同い年くらいの青年の姿があった。
ただ、呼び止めてきた男性の恰好はハルトの目を奪うものがあった。軍隊用のヘルメットを黄色に染め上げたらしきその頭部から、あり得ないほどに長い金髪が、ツタのようにその体を包んでいる。だが、その声からしてそれは明らかに男性。
コスプレ、という言葉がハルトの中に湧いてきた。
「察するに君は新入生だね! いかがかな? 我が現代視覚文化研究会に興味ないかい?」
「現代……何?」
ハルトは思わず聞き返してしまった。
その選択を、ハルトはすぐさま後悔することとなる。
「現代視覚文化研究会とはッ! マンガ、アニメ、コスプレ、その他諸々を総括する最強のサークルとして……」
「ああ、悪い。コイツ、オレのとこでもう面倒見てんだ。他当たってくれ」
その時。
彼との間に、別の学生が割り込んできた。
ボサボサの髪と、大学に似合わない大きなバックパックを背負っているそれを見た途端、ハルトは安堵のため息を漏らした。
割り込んできた学生は、そのままハルトの手を掴んでその場を離れる。
恨めしそうに睨む謎の名称サークルの眼差しを背中に受けながら、ハルトと学生はそのまま通路を外れ、近くの建物、その裏口に回り込んだ。
「ありがとう。助かったよ」
「ったく。四月のこの時期に大学に来るんじゃねえよ。新歓受けるに決まってんじゃ
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