第2部
ダーマ
賢者☆誕生
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アルヴィスもかと思いきや、なぜかアルヴィスは店の方に走って行ってしまった。
「? どうしたんだろう、アルヴィス」
ほどなく、何やら小箱を抱えて戻ってきた。
「待ってシーラ!! これを渡しておくわ!!」
アルヴィスは切羽詰まったような表情で、一抱えほどの小箱をシーラに手渡した。
「何これ? 化粧道具?」
「ふふ。それは以前、ユウリくんをメイクアップさせたときに使った女装セットよ♪」
「は!?」
想定外の代物に、私は思わず間の抜けた声を上げる。
「できることならもう一度この手でユウリくんをミラクルチェンジさせてあげたかった……。アタシの意志はシーラ、アナタが継いで頂戴」
「……わかった。アルの意志は、あたしが確かに受け取ったよ。必ずユウリちゃんを、立派な女のコに仕上げて見せる!!」
お互い真剣な表情で、顔を見合わせる二人。いやそれ、ユウリを女装させる話だよね?
「シーラ……。きっとその意志を果たすには、相当苦労すると思うよ……」
ぼそりと忠告した私だったが、気持ちが高ぶっているシーラの耳には届かなかったようである。
「遅い。相変わらずだなお前らは」
案の定、約束の時間に遅れてしまった私たちを待っていたユウリは、これでもかというほど眉間にしわを寄せていた。
「ごめんなさい! すっかり話し込んじゃって……」
「想定内だ。お前らがいない間、ドリスの店に行っておいた」
「あ、ありがとう……」
私たちが遅れてくるのを見越してドリスさんの店に行っていたユウリには、頭が下がる思いだ。
「あの……、ドリスさん、なんか言ってた?」
恐る恐る尋ねると、ユウリは視線を変えずに答えた。
「別に。いつかこうなることを予想していたようだったな。むしろ予想よりも随分早かったとぼやいていたが」
ドリスさんは、ルカの師匠として一緒にいたからこそ、彼がそう行動することがわかっていたのだろうか。やっぱり私なんかとは、考え方も経験も全然違う。
私はつい無意識に、ため息をついた。そんな私の様子を、ユウリは呆れたように眺める。
「お前らは姉弟そろって、世話の焼ける弟子だったんだな」
「う……、そうなのかな」
皮肉ともとれる言葉にうろたえる私だったが、彼の口調に刺々しさは感じられなかった。
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