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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ダーマ
賢者☆誕生
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わかっていない。というか、賢者なんて今までの歴史の中で三人しかいなかったと言われてるんだから、知らないのが当然だ。
「移動呪文は魔力を大量に消費するからな。使い手が一人でも増えれば俺の負担も少なくて済む」
 まだ起きて間もないというのに、疲れの色をにじませるユウリがそう呟く。
 アッサラームも、まだ日が昇ったばかりの時間帯らしく、この町で一番の繁華街でも人通りは少ない。朝のアッサラームは夜とは違い、静寂に満ちていた。
「この時間じゃ、ドリスさんのお店も閉まってるよね」
 私が嘆くと、シーラが思いついたように目を輝かせた。
「じゃあさ、一度アルヴィスの家に行ってもいい? 賢者の姿になったあたしを、アルヴィスに見せたいんだ!」
「あっ、それいいね!! 行こう!!」
 そういえばアルヴィスたちと別れた時、シーラも一緒にまた会おうって約束してたんだった。きっとアルヴィスやビビアンが今のシーラの姿を見たら驚くし、喜ぶだろう。
「おいおい、そんな寄り道してる場合かよ?」
 面倒くさそうにナギが口を挟むが、私は二人にシーラを会わせたくてうずうずしていた。
「実は二人がいない間、ビビアンとも仲良くなったんだよ! あとで劇場に行ってビビアンにも会いに行こう!」
「何っ!? もしかして、あのビビアンちゃんか!?」
 ビビアン、という言葉に、ナギの目の色がすぐさま変わる。
「やーねぇ、男子って。憧れの女の子の名前を出すだけで下心丸出しなんだから」
 シーラが、半分冗談、半分本気の目でナギを見下す。
「オレも一緒に連れてってくれ!! 頼む!!」
「え〜……。別にいいけど、興奮しすぎてビビアンたちに迷惑かけちゃだめだよ?」
「何だよミオ!! お前オレをなんだと思ってんだよ!!」
 いや、本気で迷惑をかけそうだから言ってるんだけど。
「あいつらに会うなら、俺は別行動を取らせてもらう」
「あっ、ユウリ!!」
「時間がかかるようなら、俺からドリスに伝えておく。昼過ぎにはここに戻って来い。いいな」
「えっ、ちょっと待って、行くなら一緒に……」
 私の言葉を待たず、ユウリはアルヴィスたちには会おうとせず、一人でどこかへと行ってしまった。
「……なんかあったの? ユウリちゃん」
「ううん。別に何もないはずだよ? あの二人とはむしろ仲良くなったのかと思ったけど……」
 いまいちつかめない彼の行動に首を傾げるも、早く二人を会わせたい気持ちが強くなった私は、シーラたちとともにアルヴィスの店へと先を急ぐことにしたのだった。



「まあ、シーラじゃない!! 元気だった!?」
 店を訪れた私たちを出迎えてくれたアルヴィスは、賢者となったシーラの姿を見るなり彼女に抱きついてきた。
「あ、アル……。苦しい……」
 アルヴィスに力強く抱きしめら
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