第八十三部第二章 撤退の果てにその二十四
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「それで、です」
「事情はわかりました」
「そういうことならです」
「我等も歓迎しなくてはならないですね」
「マウリアは同盟国ですし」
連合にとってもだ。
「断る理由はありません」
「それではですね」
「今は」
「はい、では」
タイ側とベトナム側でそうした話をしてだった。
マウリア軍の士官達も迎えて三国でのパーティーとなった、だが。
このパーティーの舞台裏でタイ側もベトナム側もお互いで話した。
「また急ですね」
「全くですね」
「マウリアはいつもこうですが」
「最近連合各国の観戦武官達のパーティーにしきりに参加しているこか」
「オムダーマンとティムールの戦い以前から」
「そして親睦を深めているとのことですが」
「何の魂胆があるのか」
親睦を深めたいというのはあくまで表向きの理由に過ぎない、真意は政治的なものが裏にあるというのだ。
「果たして」
「連合から情報を収集したいのか」
「パーティーの場を利用して」
「若しくは他に思惑があるか」
「一体何のつもりか」
「わからないですね」
「それだけに不気味です」
実にというのだ、そしてだった。
タイ軍の中佐、パーティーが行われている艦艇の艦長である彼はその話を聞いて真剣な顔になって艦内の者達に話した。
「ここはだ」
「マウリア軍が来ていますが」
「それでもですね」
「お客人ではありますが」
「それでもですね」
「目は光らせておくことだ」
こう言うのだった。
「今はいいな」
「艦内を歩き回り」
「この艦も調べかねないですね」
「そうもしてきかねませんね」
「今のマウリア軍は」
「彼等から我々の軍事機密が流れている」
タイ軍のそれがというのだ。
「そうも言われているな」
「各国の軍でそうした話がありますが」
「中央政府軍にもありますね」
「マウリアが連合の軍隊から情報を収集し」
「機密も手に入れていっている」
「特に技術的なそれをですね」
「手に入れていき」
そうしてというのだ。
「さらにですね」
「その技術を自分達のものにし」
「そしてより強くなり」
「そのうえで、ですね」
「エウロパにもですね」
「あの国にその技術を渡していますね」
「その話がある、そもそも何か意図がないとだ」
マウリアとしてもというのだ。
「今の様に活発に我々と交流を持とうとするか」
「パーティーがあれば参加を申し出て」
「しきりに会話をする」
「連合の艦内に入り」
「そうする理由は」
「何もないとはだ」
決してというのだ。
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