260 薔薇の花束
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トロツキーは杯を奪還しに向かう者達の猛攻で何とか緊急離脱する事に成功した。
「はあ、手強い奴等だ・・・。レーニン様に連絡しないとな」
トロツキーはトランシーバーを取り出した。
「こちらトロツキー。レーニン様。杯を奪還する女どもとソーグーし、やられそうになった為、何とか逃げ延びました」
『そうか、それだけ大変だったわけか。だが、その移動で貴様は更に平和主義の世界の方角へ進めている筈だ』
「はい、いかにも」
『それなら、そのまま進むが良い。以前、貴様の妹が手にしようとしていた長山治という者がいる。妹の怨みを晴らす好機ともとらえればよい』
「はい、ありがとうございます」
トロツキーは南進した。捕虜となった赤軍の西川、東アジア反日武装戦線の佐々木を奪還するという赤軍の目的に協力しつつ、秀才と言える少年を奪う事を目的に進む。
りえが入浴を終え、部屋に戻って来た。
「りえちゃん、お帰り!」
「只今・・・」
「そうだ、これ見てくれよ!」
「え?」
棚には薔薇が花瓶に生けられていた。
「今日の結婚式に来てくれた人が持ってきてくれたんだ。凄い綺麗だよね」
「え、ええ、そう、ね・・・」
りえはその薔薇に違和感を感じる。そして脳内の記憶がなくなっていく感触を覚えた。
「今度は僕がお風呂入ってくるよ」
「うん、行ってらっしゃい・・・」
(な、何が起きてるのっ・・・?)
藤木が風呂から戻って来た。
「只今」
りえは寝台で寝ていた。
「りえちゃん・・・?」
(そうか、疲れたんだもんな・・・。今日の結婚式、楽しかったよ。ありがとう・・・)
藤木はりえに添い寝した。そして藤木はりえに手を握られていた。
(りえちゃん・・・)
藤木はこの地で再会してからりえに己の行動を不可解に思われていた事はあってもようやく自分に好意を持ってくれたのだと思い少し嬉しくなった。
まだ夜が明けておらず、寒い。煮雪ありは沢に近い所で夫の悠一や杯の所有者の友達、協力者となった高校生達に異世界の人間達と共にその場で休んでいた。
(ここの夜ってこんなに冷えるのね・・・)
ありは温暖な清水に生まれた為、興味を持って移住したとはいえ、北海道の冬を越すのは寒さでとても辛かった。だが、この異世界でも寒い時はあるのだと思うと、やはり寒くて大変である。
(りえちゃん、どうしてるのかしら・・・?)
ありは杯の所有者を早くでも助けないとと思った。そのまま寒さに耐えながらも眠り続けた。
(そう言えば前にも健ちゃんが同じように心配になった事あったっけ・・・?)
ありは自身が北海道の大学へ行く事を目指そうとした時、従弟が家でも学校でも暴れて親によって少年院に送られる話を聞いた事がある。その時は自分の可愛い従弟が犯罪をやったわけでもない
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