第127話『出し物』
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あっけらかんとした様子で結月は言った。昨日の深刻そうな表情はどこへやら、全く気にしていないようだ。
「え? それじゃあ気のせいだったってこと?」
「そうなのかなー。でもハルトの言ってた通り、話してみてわかることもあるね。ちょっと距離感が近いけど、トキは面白い人だよ」
そう言って、結月は怖がるどころか笑顔をこぼす。マジックも楽しんでいたし、名前呼びをするほどの関係にまで進展したようだ。
「なら良かった〜」
胸のつかえが取れたようで、すっきりした気分だ。一時はどうなることかと思ったが、何とか解決してくれて良かった。むしろ、仲良くなるのが早すぎて羨ましいくらいだ。
だがそこで、結月は「ただ」と言葉を続ける。
「やっぱり、魔術師だとは思うな。今日見せてもらったマジックの中で、所々魔力を感じたから間違いないよ」
昨日から言っていた、天野が魔術師であるという疑念は、むしろ確信に変わったようだ。
「え、嘘、全然わからなかった。そういうのよくわかるね」
「なんか勘というか、とにかくビビっと感じるんだよね。トキにはたぶん自覚がないから、はっきりとは感じ取れないけど」
「無意識に魔術を使ってるってことか。ならちゃんと魔術について説明した方がいいのかな」
もし本当に天野が魔術師であるならば、能力は把握しておきたい。そういう意味でもそろそろ魔術について説明すべきなのかとも思うが、如何せん彼女の口が固そうに見えない。周りに魔術のことが知れ渡るリスクがあるのは良くないだろう。
話すのはもう少し後でもいいかもしれない。
「もう少し様子見、かな」
ひとまず、文化祭が終わるくらいまでは現状を維持することに決めた。このことは伸太郎や2年生達にも伝えておこう。お、何か部長らしい。
「明日から準備が始まるんだよね? どんな格好するんだろう〜」
「う、思い出したくなかった……」
晴登は自分の未来が平穏であることを祈るしかなかった。
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