第127話『出し物』
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良かったですよ。でもなぜかその後、『男子は女装して、女子は男装したら面白くない?』とか言い始めた奴がいて、気づけばそんな結果に……」
ちなみにこれを言ったのは、出し物決めの時に晴登のすぐ隣にいた人物である。しかもクラスのみんなもなぜか乗り気だったせいで、そのまま可決されてしまった。もしあの時
"晴読"を使っていれば、防げた未来ではないか。そんなしょうもない後悔が頭を過ぎる。
「だっはっは! それは最高だな! 絶対見に行くわ!」
「黒木先輩たちにも教えとくな!」
「女装した三浦かぁ」
「……ぶっ」
「ちょ、やめてください!」
だがそんな晴登の心情なんて露知らず、2年生たちは面白がっている。こっちは死活問題だというのに。
「ボクはとても良いと思うよ」
「あのねぇ、結月だって男装することになるんだよ?」
「別にいいけど? 誰かさんは初めて会った時、ボクのことを男の子と勘違いしてたくらいだから、きっと似合うんじゃない?」
「そ、その節は大変申し訳ありませんでした……」
余裕そうな結月の皮肉が心にグサリと刺さる。「冗談冗談」と彼女は笑ったが、あの時のことを割と気にしている晴登からすれば、全く気が休まらない。
「ちょっと待て、何だその面白そうな話」
「俺らに隠してたのか? 水くさいじゃねぇか」
「ほら、ちょっとそこ座って」
「茶とマジックなら出すから」
「出します出します」
そしてそんな話題が出れば、彼らが食いつくのは当然のこと。ここまで来たらもう誤魔化すことはできない。
「た、助けて伸太郎!」
「その話は俺も知らないから気になるな」
「そんなぁ!?」
頼みの綱である伸太郎も野次馬側だったとわかり、来たばっかりだというのに、晴登は逃げるように部室を後にした。
*
あの後、一通り逃げ回ってから一応部室に戻ったのだが、結局洗いざらい白状させられてしまった。今日だけで二度も精神的なダメージが重なり、下校してる今この時の晴登はもう心が満身創痍であった。
「結月が余計なこと言うから……」
「えへへ、ごめんごめん。困ってるハルトが面白くて」
「もう……」
個人的にはあまり掘り返したくない異世界での事件。結月だって恥ずかしかったはずなのに、どうしてこうも平然としていられるのだろうか。
……いや、今はその疑問は置いておこう。ここからは真面目な話だ。
「それで、随分仲良さそうにしてたけど、結局何かわかった?」
何か、というのはもちろん天野についてだ。元より今日はそれが目的である。すると、
「うん、前見た時と雰囲気が変わってたんだ。変な感じが全然しなくなってた」
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