第127話『出し物』
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に蒼い瞳……一体どこの国から来たんですか?」
「え」
その一言で空気が凍る。そして誰もが「その言い訳を考えていなかった」という顔をした。異世界出身だなんて言える訳もないし、架空の国を仕立て上げる訳にもいかない。
「……あ、当ててみてよ!」
「むむ、クイズですか。残念ながらうちはクイズには疎くてですね……アメリカとか?」
「ち、違うよ」
「ならイギリス?」
「それも違う」
そこで結月は「相手に国を決めさせる」という機転を見せる。
しかし下手に国を決めて、その国の言語を喋ってみてと言われようものなら詰みも詰みだ。結月は異世界を含めても日本語しか喋れないのだから。
「それ以外の国はあんまり知らないんですよねぇ……」
「じゃ、じゃあ答えはお預けだね。何か思いついたらまた答えてよ」
「そうさせてもらいます……」
しゅんとする天野を見て、晴登も結月もほっと一息。こう言ってはなんだが、彼女が無知で助かった。
しかし、ここまで無知ならいっそ架空の国作戦も通った気がする。何か良い案を考えておかないと。
「あ、そうだ。そちらのクラスは文化祭で何の出し物をするんです? ちなみにうちらは劇をやることになったんですよ」
天野が話題を『文化祭の出し物』に切り替えたところで、晴登の肩がびくりと跳ねる。
「へ、へぇ〜劇か。いいね、楽しそう」
「何の演目かは決まってないんですけど、うちも今からワクワクですよ! で、そちらのクラスは何を?」
「俺も劇の方が良かったなぁ〜。やるなら裏方だけど、縁の下の力持ちってね」
「……なんか話そらそうとしてません?」
自然と話をそらそうとしていたが、露骨すぎたのでさすがに天野にもバレてしまった。
「晴登、諦めろ。いずれバレるんだから」
「う……」
何もかも諦めたような顔の伸太郎にまで言われ、ついに腹を括ることにした晴登。その神妙そうな顔付きを見て、天野は首を傾げている。
「実は、1組はその……『コスプレカフェ』をやることになって」
「コスプレカフェ?」
コスプレカフェ、とは文字通り店員が全員コスプレをしているカフェのことだ。その時点で、晴登が求めた安寧が訪れることはなくなった。しかも、
「なーんだ、別に楽しそうじゃねぇか」
「メイド喫茶の進化版ってとこか?」
「なんだ? コスプレすんのが恥ずかしいのか?」
「そんな経験中々ないんだから楽しんだらいいんだよ」
「……それが女装でもですか?」
「「……え?」」
その一言を付け加えた瞬間、2年生たちの余裕の色が消え失せる。
「百歩譲って、コスプレだけならまだ
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