第一章
[2]次話
志士の怪談
西郷隆盛は京都に最初に来た時に都の古い話を色々と聞いてだった、思わず唸ってこんなことを言った。
「いや、凄いでごわすな」
「全くでごわす」
西郷の傍に常にいる大久保利通も頷いた。
「この街は幽霊の話がでごわす」
「多かでごわす」
「それに妖怪の話も」
こちらもとだ、大久保は話した。
「多かでごわすな」
「薩摩もあるでごわすが」
西郷は郷里の話もした。
「一反木綿や塗り壁に」
「夜行もありもっそ」
「トシドンもでごわすな」
「薩摩にも結構あるでごわすが」
「しかしでごわす」
西郷はそれでもと話した。
「都の幽霊や妖怪の話はでごわす」
「桁外れに多いでごわすな」
「あまりにも多くて」
そしてというのだ。
「おいどんは覚えきれんとでごわす」
「いや、吉之助さあなら」
大久保は自分と向かい合って座って酒を飲みつつ困った顔になって言う西郷に笑って言葉を返した。
「すぐにでごわすよ」
「覚えられるでごわすか」
「吉之助さあは何でも入るでごわす」
その器から話した。
「覚えることも」
「そうでごわすか」
「ははは、吉之助さあは器と頭の人でごわす」
実は西郷は学識もかなりのものだ、器の大きさが注目されているが学識に加えて頭の回転や記憶力も結構以上のものがあるのだ。
「だからでごわす」
「一蔵どんには劣るでごわす」
「いやいや、頭に入る量は一緒でありもっそ」
二人はというのだ。
「だからでごわす」
「おいどんもでごわすか」
「もうすぐにでごわす」
「都の幽霊や妖怪のことを」
「すぐに全部でごわす」
まさにというのだ。
「覚えられるでごわす」
「そうでごわすか」
「都にいれば、しかしまことにでごわす」
大久保は真顔になって話した。
「都はそうした話が多過ぎるでごわすな」
「薩摩と大隅を合わせてでごわすな」
「都のそうした話には及びもさん」
その数はというのだ。
「種類もでごわす」
「多過ぎもっそ」
「ほんなごつそうでごわす」
「いや、古書をあらためて読むと」
今昔物語等だ、こうした書に都の怪異の話は多く書かれているのだ。
「読めば読む程でごわす」
「出てくるでごわすな」
「鏡を読んでも」
今鏡や増鏡をだ。
「出て来るでごわすからな」
「日記を読んでもでごわす」
「千年以上の間怪異があり」
「あちこちに色々な話があるでごわす」
「そうでごわすな」
二人でこうした話をした、西郷は大久保と共に都の幽霊や妖怪の話の多さに驚いた。そして都が風雲急を告げるとだ。
西郷は都において多くの志士達と会うことになったがその時も常に大久保が共にあった、それは坂本龍馬と会った時もであったが。
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