第六十三話 合宿の朝その九
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「悪いことじゃなくて」
「それで捕まった人もいないわね」
「それ自体でね」
「そのこともよ」
「あんたはいいっていうのね」
「実は知り合いの男の人にいて」
そうした趣味の人物がというのだ。
「私その人と仲がいいから」
「そう思うのね」
「日本の漫画で子供が王様やってる漫画あるでしょ」
今度はこう言ってきた。
「黒髪ロングのアイシャドーした少佐さんが出て来る」
「ああ、あの漫画ね」
一華も言われてすぐにわかった。
「最近少佐さん出ないけれどね」
「残念なことにね」
実際に残念そうな言葉だった。
「私あの人好きだから」
「出て欲しいのね」
「あの人MI6でね」
その設定の話もした。
「イギリス人でしょ」
「それで何と言ってもね」
「同性愛者でしょ」
「もうそれが代名詞なのよね」
「美少年キラーで」
「けれどあの人も実際は」
リアルではというのだ。
「昔だと普通によ」
「逮捕ね」
「もうそれだけで」
同性愛者というだけでというのだ。
「罪によ」
「問われていたのね」
「それで今でもよ」
「あんな堂々と同性愛者だって言ってたら」
「叩いて来る人がね」
キリスト教の教えに基づいてというのだ、それが原理主義的だとしても。
「出てたわ」
「日本と違って」
「そうなっていたわ」
「実際のイギリスだとそうなのね」
「そうしたこともないから」
日本ではというのだ。
「いいわ、このままね」
「同性愛についておおらかね」
「そんな国であって欲しいわ」
「そうなのね」
「私はその趣味がなくても」
「寛容なのはいいってことね」
「そうよ、これからもね」
まさにというのだ。
「そんな日本であるべきよ」
「成程ね、まあ別に悪いことじゃないし」
一華もそう思っていて言った。
「偏見持つことはね」
「よくないわね」
「ええ、そう思うわ」
サウナで汗をかきつつ話した、出るころにはもうすっきりしていて水風呂に入って身体を冷やしてからだった。
一華はイギリスから来た娘と共に風呂を出た、そうして服を着てそのうえで朝食の時間まで部屋に戻ってくつろいでいたが。
皆復活していた、一華はその彼女達に尋ねた。
「皆元気?」
「この通りね」
「お風呂に入ったからね」
「お酒すっかり抜けてよ」
「復活したわ」
「そうよね、私もね」
一華は皆の言葉を受けて自分もと話した。
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