第六十三話 合宿の朝その六
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「驚かなかったけれど」
「他の子は驚いたかもね
「そうかもね、日本に来て十年経つけれど」
「どう?日本」
「いい国ね」
こう述べた。
「とても」
「そう言ってくれるのね」
「ずっといたい位よ」
「そこまで好きなのね」
「何かといいからね」
だからだというのだ。
「これからもね」
「ずっとなのね」
「日本にいたいわ」
そうだというのだ。
「本当にね」
「じゃあいる?」
「いいわね」
一華に笑顔で応えた。
「大学卒業までは確実にいるし」
「八条大学ね」
「そっちに進学させてもらうつもりだし」
それでというのだった。
「それでね」
「就職もなのね」
「日本でしたいわ」
「それでずっといたいのね」
「ええ、ただね」
ここで一華にこうも言った。
「一つ驚いたのはね」
「何に驚いたの?」
「日本の歴史って同性愛で捕まった人いないのね」
「ああ、それね」
同性愛のことを言われてだ、一華も言った。
「日本では昔からね」
「普通なのよね」
「だからね」
「古代ギリシアもそうだったけれどね」
むしろ古代ギリシアは女性蔑視が強くその為同性愛の方がいいとさえ言われていた位であった。だから神話でも同性愛もあるのだ。
「キリスト教の世界だと」
「否定されてるのよね」
「もう死刑になる位のね」
そこまでのというのだ。
「重罪だったのよ」
「長い間そうだったわね」
「それがね」
「日本ではね」
「今でも変わった趣味と思われても」
「犯罪じゃないわよ」
一華はあっさりとした口調で答えた。
「別にね」
「そうでしょ」
「何かソ連でも駄目だったそうだけれど」
共産主義のこの国でもというのだ。
「最初はよくて」
「ええ、何か秘密警察がね」
ソ連を象徴する組織の一つであったこの組織がというのだ。
「謀略とかの温床になってるって」
「そう言ってよね」
「取り締まってね」
「それをスターリンがいいとして」
「それでずっとよ」
それこそソ連が崩壊するまでだ。
「ソ連でもよ」
「同性愛は犯罪だったわね」
「それでイギリスもね」
自分の祖国もというのだ。
「長い間ね」
「同性愛駄目だったのよね」
「逮捕されることもよ」
これもというのだ。
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