第三章
[8]前話
「近頃はないですが」
「それでもだな」
「やはり嘘を吐いたことはあります」
「そうだな」
「何かと」
「それではこの魔法を教えてもらってもな」
王は言った。
「すぐに使えなくなる」
「全くですね」
「ですから多くの人にこの魔法のことをお話してきましたが」
ボーディサッタは王に話した。
「どの方もすぐにです」
「使えなくなったか」
「そうです」
「わかった、では教えてもらうが」
王は考える顔で述べた。
「嘘を吐くまでの間な」
「使われますか」
「そうしよう」
こう若者に答えた。
「その様にな」
「そうですか、では私もです」
若者も言った。
「嘘を吐くまでの間です」
「使っていくか」
「そうします」
「嘘を吐かないで生きることは非常に難しいものです」
ボーディサッタも述べた。
「それもまた人の世です」
「そうですね、しかしその中で嘘を吐かないで生きておられるとは」
若者はそのボーディサッタに話した。
「貴方は素晴らしい方です」
「そう言って頂けますか」
「はい、まことに」
こう彼に言うのだった、そして王も教えてもらったが。
程なくして嘘を吐いてしまい魔法を使えなくなった、そして若者もだった。
魔法を使えなくなった、そのうえでボーディサッタの偉大さを知った。嘘を吐かねば生きていけない世の中で素直に生き続けられる彼のことを。
それで若者は王に話した。
「あの方は今の生も素晴らしいですが」
「これからもか」
「生まれ変わられても」
そうなってもというのだ。
「その時もです」
「素晴らしい方になられるか」
「あの方こそまさに真の聖者」
ボーディサッタをこう言うのだった。
「ですから」
「その為か」
「次の生でも素晴らしい方になられるでしょう」
こう言って彼を讃えた、そして彼も王も知ることは出来なかったが。
ボーディサッタは死ぬとシャカになった、そのうえで悟りを開いた。シャカの前世の話の一つをここに書き残させてもらった。少しでも多くの人が読んで頂ければ幸いである。
不思議なマンゴー 完
2022・7・12
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