第一章
[2]次話
不思議なマンゴー
シャカの前世であるボーディサッタはこの時チャンダーラという身分の低い者達の集落の賢人として生を受けていた。
ある時この集落に旅の若者が来たが。
「へえ、タッカシラーから来たのかあんた」
「確か学問で有名だな」
「そっちから来たんだな」
「そうなんだな」
「はい、それでです」
若者は素直に答えた。
「この街でも学びたいと思っています」
「そうか、じゃあ何でも聞いてくれ」
「興味があるものだったらん」
「そうしてくれ」
「そうさせてもらいます」
褐色の肌で痩せていて黒い髪の毛が奇麗である、その彼がだ。
ボーディサッタに会った時彼はマンゴーの木に手を当てていた、すると。
幾つも実が出て来た、若者はこれに驚き穏やかな顔の彼に問うた。
「あの、今何を」
「マンゴーを出したのですが」
「季節外れなのにですか」
「私は何時でも出せます」
「マンゴーの実を」
「左様です」
「不思議な力ですね、どうして出せるのですか?」
「はい、それは」
ボーディサッタは若者に出し方を教えた、そして集落で学びたいことを全て学ぶと集落の者達に礼を言って去った。
そして故郷に戻ってマンゴーの木に魔法をかけるとだった。
枯れ葉は全て落ち若葉が繁り花も咲いてだった。
実が実った、彼はその実達を腹一杯食べたが。
それでもまだまだあったので街に出て売ることにした、するとだった。
「この季節にマンゴーか」
「これは珍しい」
「今好みが食えるなんてな」
「これはいい」
「是非売ってくれ」
街の者達は驚きそしてだった。
是非にとなってだ、それでだった。
マンゴーは飛ぶ様に売れた、若者はマンゴーをどんどん出して売りかなりの資産を得た。そしてだった。
この国の王の耳にも入った、それで王は王宮にそのマンゴーを持って来させて食べてから周りの者達に言った。
「この季節にマンゴーを食せるとはな」
「思わないことですね」
「全く以て」
「街で売られているとのことだが」
周りに対して言った。
「その売っている者に話を聞きたい」
「そうですか、ではです」
「その者を王宮に呼びましょう」
「その様にせよ」
こう言って若者を王宮に呼んだ、そしてだった。
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