第一章
[2]次話
百の目がある実
フィリピンのある村にとても可愛い女の子がいました。
名前をピニャンといいます、ピニャンは大きな目がきらきらとしたとても利発な娘です。
いつもお父さんとお母さんの言うことを聞いてよく遊んでよく学んでよく働いていました、とても素直な娘でご両親の自慢の娘でした。
ですが一つだけ不思議なことがありました。
「いつもなのよ」
「そうなの?」
お母さんはご近所のおばさんのお話に首を傾げさせました。
「ピニャンが遊んでいるとなの」
「そう、暗くなるとね」
そうした時間になるとなのです。
「光が差してね」
「そうしてなの」
「そう、それで遊び続けるのよ」
「実はね」
お母さんはおばさんのお話に応えて言いました。
「ピニャンは一つだけ困ったことがあるの」
「とてもいい娘なのに」
「帰りが遅いのよ」
このことがというのです。
「そのことがね」
「困ったことなのね」
「どうしてかって思っていたら」
「そうなの、私この前見たのよ」
おばさんはピニャンのお母さんに真剣なお顔でお話しました。
「それをね」
「そうなのね、わかったわ」
それならとです、お母さんは頷きました。
「今度ピニャンにどうしてか聞いてみるか」
「遊んでいて暗くなるとどうして光が差すか」
「前から帰りが遅いことが気になっていたし」
「ええ、そうしたらいいわ」
おばさんもそれならと応えました、こうしてです。
お母さんはこの日も帰りが遅かったピニャンに晩ご飯の時にどうして帰りが遅いのか尋ねました、するとです。
ピニャンは笑顔でこうお母さんに言いました。
「実は目が百個ある様なね」
「目が?」
「そうした地面から実る実を見付けてなの」
ピニャンはお母さんに素直に答えました。
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