第五章
[8]前話
「何かと」
「昔から言われていることだよ」
コネリーはスウィストに笑って返した。
「ここに恐ろしいものが多くあるとね」
「密かに」
「そうね、噂だが」
「事実ですね」
「そう、しかしね」
それでもとだ、コネリーは話した。
「それが事実でもね」
「それでもですね」
「言わないならね」
「それならですね」
「あるとね」
その様にというのだ。
「謎は謎のまま、噂は噂のままでね」
「いいんですね」
「そう、言わないならね」
あると、とうのだ。
「何があるとかでなくて」
「あるということ自体をですね」
「言わず否定も肯定もしないなら」
それならというのだ。
「知らないわからないとだけね」
「私達が言えばですね」
「いいんだよ、そうすれば」
その様にすればというのだ。
「噂のままだよ」
「だからですね」
「いいね、彼等の噂は真実でも」
この博物館に多くの決して表には出せないものが密かに所蔵されていることはというのだ。
「何があるではなくて」
「あるということ自体をですね」
「言わないなら」
「噂は噂のままで」
「それで済むよ、若し聖骸衣やネクロノミコンが本当にあるとわかったら」
「大騒ぎですね」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「もうね」
「このことはですね」
「口外しない様にね」
「そうします」
スウィストはあらためて約束し実際に言わなかった、博物館の噂はあくまで噂として言われるだけだった。関係者が何も言わないので。
博物館の闇 完
２０２２・７・１６
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