第三章
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息子にだ、スカートの端を引いて言われた。
「お母さん、僕ひいお祖父ちゃんのビー玉欲しい」
「あのビー玉?」
「うん、凄く奇麗だから」
だからだというのだ。
「そうしたいけれど」
「あんたビー玉好きなの」
「ひいお祖父ちゃんのビー玉見たら全部奇麗だから」
それ故にというのだ。
「凄くね」
「欲しくなったの」
「うん、駄目?」
「そうなのね、あんたが欲しいのね」
あどけない顔で自分を見上げる母の言葉を受けた、そうしてだった。
話し合いの場に戻るとだ、佐緒里は親戚達に自分がビー玉を全て引き取ろうかと言った、そうするとだった。
捨てようかと言った叔母はこう言った。
「あんたがなの」
「うちでね」
「そうしてくれるならね」
「そうだね、遺品なら思い入れもあるし」
夫の公康も言ってきた、見れば見る程息子に遺伝を受け継がせている顔である。
「それじゃあね」
「それでいいわね」
「奥さんがそう言うなら」
夫に異論はなかった、そして。
祖母の美代子もだ、こう言った。
「あんた達がそうしてくれるならね」
「いいのね」
「ええ、大事にしてね」
「そうするわね」
ほっとした、夫の遺品が売られずに済んでそうなった様だった、こうしてだった。
佐緒里と彼女の一家が祖父の遺品であるビー玉を全て引き取った、すると。
義春は彼の曽祖父がそうした様にだ。
ビー玉を飾り磨いていつも奇麗する様になった、佐緒里はそんな息子を見て驚きを隠せない顔で夫に話した。
「お祖父ちゃんそっくりなのよ」
「そうなんだ」
「ええ、お祖父ちゃんもね」
彼女から見て祖父にあたる彼のことを話した。
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