第三章
[8]前話
「実に変わった味でした」
「そうであったか」
「はい」
こう言うのだった。
「本朝の米の酒とは匂いだけでなく」
「味もか」
「全く違いまして」
それでというのだ。
「そうしてです」
「美味かったか」
「そう思いました、ただどうも本朝の肴にはです」
酒のそれにはというのだ。
「あまりです」
「合わぬか」
「そう思いました」
「成程のう、面白い話じゃ」
信長は笑って述べた。
「それはまた」
「南蛮の酒のことも」
「実にな、では後でじゃ」
信長はさらに言った。
「南蛮の菓子でな」
「それと共にですな」
「茶を飲もう、お主達もじゃ」
フロイス達にも声をかけた。
「来るがいい」
「我等もですか」
「大勢で菓子を食って茶を飲んでこそじゃ」
その様にしてというのだ。
「楽しいからな」
「だからですか」
「是非じゃ」
この後でというのだ。
「フロイス達も来るのじゃ」
「それでは」
フロイスも宣教師達も笑って応えた、そうしてだった。
信長は家臣達それに宣教師達と南蛮の菓子に茶を楽しんだ、甘いものを食べて茶を飲む彼は実に上機嫌だった。
織田信長が実は酒が飲めなかったということは史実にもある、そうして甘いものや茶を好んだという。勘気故に酒好きそれも酒乱という印象があるが実はそうではなかった。こうしたことがわかるのも歴史を学ぶうえで面白いことの一つであろうか。
茶の方が 完
2022・6・17
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