37:終わる為の出会い
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び出した時と似た涼やかな効果音が鳴る。
食べると、音の割りに不思議とパサリと乾いた触感で、味も寒天のようにほとんど無い。なのに、なぜこんな無味キノコをあのNPC村長は大量に欲しがるのだろうか……などと益体もないことをキノコを指先で弄びながら考えていると。
――ズボッ、ズザザザザ……!
という、聴き慣れぬ音がボクの耳に届いた。
「え? な、なに……?」
ここから十数メートルほど離れた木々の先だ。
背に担ぐ巨斧の柄に右手を添えながら、恐る恐る駆け寄ってみると……
なんとその場所に、ぽっかり直径一メートルほどの、奥底が見えない程の深い穴が斜めに開いていた。
「トラップの跡……?」
どう見ても典型的な落とし穴タイプのトラップの跡である。
SAOでは、フィールド迷宮区内問わず所々、あらゆる形でトラップが仕掛けられている。ややポピュラーすぎて逆に少し珍しいが、これもこのゲームに存在するれっきとした罠の一つだった。
この罠にかかったものはウォータースライダーのように穴の斜面を滑り落ちてしまい、穴底に閉じ込められてしまう。その穴底は決まって土に囲まれた小さな空間になっており……さまざまな待遇が落ちてきた者を待ち構えている。
そのほとんどの場合はモンスターの群れだったり、剣山の穴底が待ち受け、即死は無いにしろ結構なダメージは避けされないというなかなかに痛い目にあう。また、結晶無効化空間が発生したりして、そうなったらその効果が切れるまでひたすら待つか、メッセージ等でフレンド等に救援を請うしかないという状況に陥ったりさせられるのだ。余談だが、ごく稀に落ちた先にはトレジャーボックスの山があった、などという情報も小耳に挟んだことがあるが……
そして、遅れながらもはたと気付く。
この階層のこんな森の中でトラップを踏むなんて、自分と同じキノコ狩りに来たプレイヤー以外にはあまり考えられない事だった。
「だ、大丈夫ですかーっ?」
真っ暗闇の穴の奥底に向かって声を張るが、ヒュォォォ……という深淵からの不気味な風音が返ってくるだけで、声の返答は無い。
キノコ狩りレイドパーティのチャットログやメッセージ受信記録を見てみるが、今のところ変化は無い。だとすると……
もしかしたら……今この地下では、落ちたプレイヤーが待ち構えていたモンスターの大群に襲われている……!?
――た、助けなきゃ……!!
そう思った時には、
「今行くからねっ!!」
と叫び、ボクは斧を背から引き抜き、穴の中に飛び込んでいた。
◆
トラップ穴の斜面は通常の地面の斜面よりも潤滑度が高くシステム設定されているようで、一度滑り落ちたら自力では這い上がれないのは目に見えていた。それは
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