37:終わる為の出会い
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れた。
《SAOの世界観》の《モンスター一覧》というページだった。
完璧な仮想世界。そしてそこに生息する……現実には存在しない、架空の数多の動物達。
まさに夢に描いたかのような姿の……逞しくてプリミティブ、時には可愛らしくファンシーで、はたまた恐ろしげでグロテスク、中には幻想的かつキュアーで、そして神秘的でファンタジーな…………全てが魅力的で、ユニークなモンスター達。
それらを見、隅々まで読み込んだ時点でボクは……無意識の内に《ベータテストプレイヤー募集》のページにマウスを動かしていた。
そうしてボクは……《SAO》に出会った。
◆
……そしてボクは今日も、日々の生活に必要な『コル』と《趣味》の更なる探求に必要な『経験値』の為に、とある収集系クエストに挑戦していた。
このクエストは、モンスターの存在しない第二十二層の、とある小さな村の村長に話しかけることで発生する。その内容は、村長にクエストを受注したその日までに、この階層で採れる《風鈴キノコ》というキノコを納める、という実に一般的なクエストだ。
キノコは毎日、この階層の森の中でたくさんポップする為、難易度も決して高くはない。
しかし今、このクエストは知る人ぞ知る人の中だけで、秘かに人気を博していた。なぜならば……
このクエストは『報酬である経験値とコルが、納めたキノコの数に大きく影響する』からだ。
そして大量にキノコを納める事に成功した時の報酬が、これがなかなかおいしい。流石に最前線の迷宮区での戦闘とのそれには遠く及ばないが、命の危険を一切冒さずのびのびと楽しめるクエストでこの報酬は、中層プレイヤーにとって実に魅力的なものであった。
しかもこのクエストは『連結パーティで挑戦可能』かつ『どんなに人数が増えても個人の報酬は分割されない』という、破格の親切設計っぷり。
従って、このクエストを知る中層プレイヤーはこぞって村で人手を募ってはレイドパーティーを結成し、一人一人散開していく形で階層中の森の中に散り散りになり、一日中総出でひたすらキノコをかき集めるのだ。そして日が沈む頃を見計らい、山の様に詰まれたキノコを村長に納め……そして全員に潤沢な報酬が与えられ、小さな村で盛大に打ち上げの宴が催されるのだ。
そういった日々が、一部の中層プレイヤーの日常だった。
……そしてボクも、その内の一人だった。
今日も今日とて、ボクは一人山の中を散策しながら風鈴キノコを探しては採っていく。
「……あっ、あった……!」
針葉樹の根元に、初見ではやや見つけづらいものの、今では見慣れたガラスのような半透明のキノコを摘まみ、慎重に引き抜く。
風鈴の名が付くその通りに、軽く振ってやればチリリンと、メニューを指で呼
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ