第二章
[8]前話
母に何かと教えてもらいながら二人でチョコレートを作っていった、そうして完成させた二つのチョコは。
冷蔵庫に入れて次の日。
一家の父親である淳面長で黒く短めの髪で眼鏡をかけた穏やかな目で一七二位の痩せた身体のサラリーマンの彼とだった。
息子で高校生で父親によく似ていて父と同じ背の花袋にだった。
二人はチョコレートをあげた、この時母は二人に話した。
「夢子も手伝ってくれたのよ」
「えっ、そうなのか」
「夢子もなんだ」
「そうなのよ」
「私もなのよ」
その夢子も言ってきた、母の横でドヤ顔をしている。
「頑張ったのよ」
「そうか、それは嬉しいな」
淳は父として笑顔で応えた。
「それじゃあ早速頂くな」
「僕もね、実はバイト先で貰ったけれど」
息子は自分の話もした。
「義理でね」
「あら、そうなの」
「うん、職場の大学生の先輩からね」
「それはよかったわね」
「けれどお母さんと夢子が作ってくれたなら」
それならと言うのだった。
「こちらもね」
「食べてくれるのね」
「そうするよ」
「これはホワイトデー奮発しないとな」
父は笑顔で話した。
「そうしないとな」
「そうだね、じゃあ今から頂くよ」
息子も言った。
「有り難くね」
「そうしてね」
「美味しかったら言ってね」
母も娘も笑顔で応えた。
「そうしてね」
「そうするよ」
「さて、どんな味かな」
父も息子も笑顔で言ってだった。
それぞれの席に着いて実際に食べた、すると。
「美味いな」
「そうだね」
二人共笑顔になった、実は希美は料理上手で彼女に教えられた夢子もまだ子供だったがそつはなかった。それでだ。
チョコレートは美味しく淳も花袋も笑顔のまま最後まで食べた、そしてホワイトデーは実際に弾んだのだった。
家族へのバレンタイン 完
2023・1・29
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