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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第144話:消える灯を嗤う道化
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がった家族を、そして……二度目は俺のパパとの平穏を……」
キャロルはシャトーに向けてハンスを抱えて飛んでいく。そしてシャトーの上に降り立つと、物言わぬハンスを優しく横たえた。
颯人達からは、キャロルの顔は見えない。だが近づきがたい雰囲気を纏っている為、今の彼女に近付いてその顔を伺おうとする者は誰も居なかった。
ハンスを横たえ、キャロルはゆっくり立ち上がる。天を仰ぎ見て、曇天に涙に濡れた目を向けた。
「そして、俺ももう何も残ってはいない。パパも、ハンスも……何も……」
『そんな事無いッ!? パパは、キャロルの中に命題を……』
「その答えを俺は教えてもらえなかったッ!? パパは俺に、何も…………!?」
「じゃあさ? 全部壊しちゃえば?」
「ッ!?」
気付けば、キャロルの前にグレムリンが居た。グレムリンは片足をハンスの骸の上に乗せながら、嘲笑うような笑みをキャロルに向けていた。
「もう君、何にも残ってないんでしょ? だったらさ、何もかも、ぜ〜んぶぶっ壊しちゃいなよ♪」
それは悪魔の囁きであった。胸の内に渦巻く暗い思いを、激情に任せて放出する。それは確かに気持ちがいいだろう。だがその先に待っているのはただの破滅だ。キャロルが常の状態であれば、そんな事に首を縦に振る事は無かった筈だ。
だが、今のキャロルはハンスとシャトーを失い、冷静さを欠いていた。錯乱していると言っても良い。そんな状態で、聡明な判断など不可能であった。
「そう、だな……ハハッ、それが良い…………!!」
「グレムリンッ!? お前、何吹き込みやがった!?」
遠目に見ていた颯人も、キャロルにグレムリンが何かを吹き込んだ事を察し急いで近付こうとした。
だが彼が近付くよりも先に、キャロルが放出した錬金術の衝撃により吹き飛ばされた。
「ぐぅっ!?」
「そうだ……壊れてしまえ。俺から何もかもを奪う、こんな世界…………!!」
「あはっ♪」
正気を失い、父が残した命題も何もかも関係なく、破壊をばら撒こうとするキャロル。
それを誑かした張本人であるグレムリンは、その様子を見て楽しそうに嗤っていた。
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