暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第144話:消える灯を嗤う道化
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飛び出した3人の装者達。内部に突入したマリア達だ。彼女達はウェル博士の協力の元、シャトーの機能の完全停止を成し遂げたのだ。

 輝きを失いゆっくりとシャトーが降下し、真下にある都庁上部を押し潰して停止する。

 父の命題を完遂する為の鍵が光りを失ったと言うのに、キャロルはそれに目もくれない。今の彼女は只管に死に行くハンスに涙を流しているだけであった。

 マリアが無事であった事、そしてシャトーの機能を停止させてくれたことに奏達の顔に安堵が浮かぶ。だが同じく内部に突入したメンバーの中で、ガルドだけがこの場に居ない事に響が疑問の声を上げた。

「あれ? マリアさん、ガルドさんは?」
「彼なら今は本部よ」
「何をしに?」
「大方ウェル博士を送ったんだろ」

 颯人と奏はガルドが居ない理由に気付いた。ネフィリムの左腕以外ただの人間であるウェル博士は、やるべきことをやり終えたら足手纏いでしかない。加えて放置して逃げられると面倒にしかならないので、安全確保と言う名目で本部にて再度拘束していた。
 今頃は慎次により手錠を掛けられ個室に監禁されているだろう。

 何はともあれ、キャロルの野望は完全に潰えた。後はキャロル自身を拘束するだけ。ここまでの事をしたのだから、厳しい罰が科せられるだろうがそれでも殺さなければならないほどではない。

「もう終わりだ、投降しろッ!」
「シャトーは止まって、仲間はもう居ない。お前に出来る事は何も無いぞッ!」
「お願い、キャロルちゃんッ!」

 翼・奏・響がキャロルに降伏を促す。彼女達にはもう戦う理由が無かった。世界の分解が防がれたのだ。これ以上の戦いは不毛である。

 だが颯人はキャロルに対して警戒を向け続けていた。手品師として人々を観察してきた彼は、人の心の機微に敏感になっていた。
 そのセンサーが告げている。今のキャロルは危険だと。知らず、気付けば4人の颯人は奏達を守る様に前に出ていた。

「颯人?」
「皆……構えは解くな。何時でも動けるように備えておけ」
「え?」

 颯人の言葉に首を傾げる響達。

 一方、キャロルにはエルフナインが繋がりを利用して必死に訴えかけていた。

『もう止めようキャロルッ! パパは、こんな事望んでなかった! パパが言っていたのは、もっとずっと純粋な事! 世界を識れって言うのは、分解して解析しろとかそんな事じゃなく……』
「それを……どうやってハンスは知ればいい?」
『え?』

 もう既に、キャロルの腕の中のハンスは動く事は無い。安らかに閉じられた彼の瞼が、開かれる事はもうない。その顔に、流れ続けるキャロルの涙がぽつぽつと落ちる。

「ハンスは俺以上に、パパの命題の事が分からなかった筈だ。ハンスはずっと奪われていた。最初は血の繋
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