暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第144話:消える灯を嗤う道化
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ることを察した透が咄嗟にクリスを守ろうとするが、今のキャロル相手には魔法の障壁も紙屑同然だった。一瞬の拮抗すら出来ず破られ、2人揃って吹き飛ばされる。

「うわぁぁぁぁぁぁっ?!」

 キャロルの力は想像以上だった。装者4人に魔法使い1人が束になって掛かっても傷一つ付けられない。
 その有様は、嘗てのルナアタックの際のフィーネを彷彿とさせた。思えばあの時も、この5人で挑んだ時は雑魚の魔法使いを散らすだけで幹部や本命に対してはろくにダメージを与えられた試しがなかった。

 しかしそれは同時に、希望を奏に持たせた。そう、あの時だってそうだった。なら、この状況を逆転する鍵はただ一つ。

〈〈〈〈チョーイイネ! キックストライク、サイコー!〉〉〉〉
「「「「ハァァァァァァッ!!」」」」

「なっ!? くっ!?」

 突如放たれる4人の颯人によるストライクウィザード。火、水、風、土のそれぞれ4つの属性を持つ必殺技が同時にキャロルに飛んでいき、意識を奏達の方に向けていたキャロルはそれを防ぐも僅かに間に合わず障壁ごと蹴り飛ばされた。

「くぁっ!? な、何だとッ!? 明星 颯人ッ!? 貴様、何故……!?」
「人形たちの相手をしてた筈って? 残念、アイツらならあっちの方でスクラップになってるよ」
「なっ!?」

 キャロルは慌ててオートスコアラー達に念話を送った。

「レイアッ!? ファラッ!? ガリィッ!? ミカッ!? お前達、返事をしろッ!?…………どうした、何故答えないッ!?」
「これで信じる気になったか?」

 颯人がウィザーソードガンの切っ先をキャロルに向ける。向けられる刃と気迫に、ここでキャロルは初めて半歩後退った。

「う……!? ま、まだだ……まだ俺にはハンスが居るッ! アイツが居れば、俺は…………!?」

 配下は全て居なくなった。が、彼女が頼れる仲間はまだ残っている。颯人すら上回る魔法使いのハンスさえ居れば、この状況を打開できるとキャロルは信じていた。

 だが背後のシャトーで起こった小さな爆発、その後にシャトーから放り出されたように吹き飛ばされる人影を見て、キャロルの顔から表情が消えた。

「え? あれ、は…………」

 力を失った言葉とは裏腹に、キャロルの体はその人影に向けて飛んでいた。もう今の彼女の目に、颯人や装者達の姿は映っていない。

 重力に従って放物線を描きながら落下していく人影、それはハンスの物に他ならなかった。キャロルは藻掻く事をせず重力に身を任せるだけのハンスに向け手を伸ばした。

「ハンスッ!?!?」

 キャロルは何とか落下する前にハンスを受け止める事が出来た。お陰で落下死は免れたが、変身が解除された彼の顔には目に見えて分かるほどの死相が浮かんでいた
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