第2部
ダーマ
イグノーの遺志
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く頷いた。彼女がそう決めたのだから、私たちはそれに従うしかない。
「ふん。なら、早くここから出るぞ。目的も果たせたようだしな」
身動ぎしない僧侶たちに目もくれず、ユウリは一足先に歩き出した。私も早くここから出ようと、シーラに声をかける。
「そうだね、行こう、シーラ」
私が手を伸ばすと、シーラは遠慮がちにその手を取った。私は今度こそ放さないよう、しっかりと手を握る。
「じゃーな。あんたらのお望み通り、もう二度とここには来ねえから」
最後にナギが皮肉めいた口調でそう言い残し、私たちはこの場所から離れようとしたのだがーー。
「ま、待ってください! あのぅ、差し支えなければ、入り口の扉の修繕費をお願いしたいのですが……」
いい雰囲気をぶち壊すかのように私たちに言い放ったのは、門番のノールさんだった。入り口の扉っていうと、あの時……。
「あっ!!」
そう言えば、シーラたちが外にいたとき、ユウリが呪文で扉を壊したんだった!
ユウリも今ごろになって気がついたのか、首筋に汗が伝い落ちる。
「……走るぞ」
一言そう言うと、ユウリはものすごい早さでこの場から駆け出した。まずい、これは置いていかれたら修繕費を請求されるパターンだ。
私はシーラを腕を引き、星降る腕輪の力を発揮すると、すぐにその場から離れた。ワンテンポ遅く気づいたナギも、持ち前の俊足でユウリに追い付く。
「おいコラ、オレたちを置いて先に行くなよ!!」
「バカザル!! こういうときにしか役に立たないんだから、代わりに払っとけ!!」
「ふっざけんな!! てめーがぶっ壊したんだから、てめーが払えよ!!」
二人に再会できて嬉しいはずなのに、この二人の言い合いを見ていると頭が痛くなる。
それでも、またこうして四人で行動を共にすることが出来ることを、どれ程待ち望んできたことだろう。
後ろを振り向けば、さっきまで涙を流していたシーラが、以前の明るい笑顔の彼女に戻っている。
ユウリも結局二人を見捨てることはしなかったし、ナギは相変わらずだ。
やっと、再会したんだ。
ようやく実感が湧いてきた私は、この喜びを噛み締めながらダーマの神殿を後にしたのだった。
「はあ!? オーブ? ラーミア? サイモン? いっぺんに説明されても困るんだけど?」
ところ変わってバハラタの小さなレストラン。ここは初めてこの町に来たときに一度訪れている。確かあの時はナギがスープを頭から被っちゃったんだっけ。
対してナギとシーラは半年近くこの町にいたからか、ここにはもう何十回と通っているらしい。二人が入ると、オーダーも取らずにすぐ二人が食べたいものを調理してくれるほどまでに、二人はここの常連となっていた。
今回も二人のおすすめメニューを頼んでおり、料理が来るのを待って
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