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冥王来訪
第二部 1978年
影の政府
三界に家無し その3
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胆な事を言うじゃないか」
 マサキは立ち上がるなり、美久の背後に近寄ると、いきなり彼女の耳を舐める。
全身を粟立て、震える美久の背中から両手を胸の前に回す。
彼女の胸を、茶褐色の婦人兵用勤務服の上から、揉みしだきながら、
「貴様の事を、あまりに人間を真似て作りすぎたかな」と、耳元で囁いた。
彼女が顔を紅潮させ、体を震わす様を見ながら、マサキは不敵の笑みを浮かべた。


 マサキが、食後の茶を飲んでいると、美久は、
「ハイネマン博士の襲撃事件ですが、やはり東側の……」
と、訊ねて来たので、湯飲みを置くなり、
「フフフ、今日は気分が良い。特別に話してやろう」と不敵の笑みを浮かべ、
「ハイネマンの誘拐を企んだ連中。
そういう組織は、この米国に対して極度の敵愾心を持っていると言う事になる」
「それで」
「今一番考えられるのがソ連のGRUだ。枝葉の組織、つまり出先機関が米国内にある。
当然の事として……」
「なるほど……」
「そのGRUのソ連人が、米国内を駆けずり回ったり、伝令を使えば、色々と目立つ。
故に連絡員は、ほとんど米国人を雇う」
右手を、食指と中指にタバコを挟んだまま、振り上げ、
「どのような諜報機関でもそうだ。秘密連絡員(メッセンジャー)に工作対象国の国民を利用する。
だから連絡員を狙って殺せば済む訳ではない」

「敵はこの俺の事を熟知している。
鳴り物入りで、大統領とホワイトハウスで面会し、シークレットサービスやFBIの護衛が付いている。
そのことも、とっくに連中に露見している」

「だから、俺は派手に遊びながら、奴等の出方を待つ。
そうだ、今週末辺り、東ドイツにでも久しぶりに遊びに行くか。
そして、シュタージの奴等が支援したパレスチナ過激派のテロ情報を使って、強請(ゆす)るのも良かろう」
「どうして、その様な事をなさるのですか」
「奴等は、不安になって来る。自分達の連絡員が支持も無く勝手に動きやしないかとね」

「その結果、奴等は俺とお前を狙って来る。
本部からの催促もあって、じっとして居られなくなって、再び誘拐でもしよう」
マサキは、そう言葉を切り、タバコに火を点ける。
「だから、遊びながら待っているのさ。準備万端のゼオライマーを待機させてな。
無論、来た奴等には、地獄行きの特別切符を渡してやるつもりだがな」
 マサキの胸は、嫌がおうにも高鳴った。
仕留め損ねたGRUの組織と人員をこの世から抹殺する事、考えると、全身の血が滾った。
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