第80話:病室ではおとなしくしましょう
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小声でそう言ったなのはは耳まで真っ赤になっていた。
「2人とも入院患者やねんから、そういうことはちょっと控えなさい。
特にゲオルグくん!病室で何迫ってんねん!」
「あー、いや。あまりになのはが魅力的なもので・・・つい☆」
舌を出しておどけて見せるが、それがはやての怒りの炎に
油を注ぐ結果となってしまったようだ。
「あーん?何が ”つい☆”やねん。フェイトちゃんも何か言うたってーや!」
はやてがフェイトに話を振る。
「・・・いいなぁ、なのは・・・」
「・・・はぁ!?」
虚空を見つめてぼそっと呟いたフェイトに、はやてはあんぐりと口をあける。
それは怒られるであろうと想像していた俺やなのはも同じで、
唖然としてフェイトの顔を見つめる。
「・・・私だって・・・はっ!」
俺達3人の視線に気づいたのか、フェイトはふっと我に返る。
「けっ、どいつもこいつも色づきよって!」
やさぐれた口調ではやてが言う。
「フェイトちゃん!わたしは応援するよ!頑張って!」
グッと両手を握りしめ、目をキラキラと輝かせながらなのはが言う。
「で?いったい誰がフェイトのハートを射止めたんだ?」
ベッド脇の椅子に腰かけた俺が言う。
「わ、私のことは今はいいじゃない。それよりはやて!
なのはに話があったんでしょ!」
フェイトの言葉にはやてが真顔に戻ってぽんと手を叩く。
「おっと、そうやった。なのはちゃん」
「なあに?」
「入院はとりあえず1か月くらいになりそうやって」
はやての言葉になのははさみしそうな表情を浮かべる。
「そっか・・・。まあ、しょうがないよね」
「今回の戦闘では相当無理がかかったみたいやしね。
まあ、なのはちゃんはこれまでスバルらを鍛えるのに一生懸命
頑張ってくれてたんやし、ご褒美やと思ってゆっくり休んで」
「うん・・・ありがと、はやてちゃん」
そう言ってはやてに笑いかけるなのはの顔は、やっぱりどこかさみしげだった。
「ところで、ゲオルグくん」
「あ?なんだ?」
「ちょっと話があるんやけどええかな」
はやてはそう言って病室の外を指さす。
「いいけど・・・ここじゃできない話なのか?」
「うーん、そういうわけやないねんけど・・・」
はやては困ったような顔で言い淀む。
「ねえゲオルグくん。わたしちょっと眠いの。悪いけど寝かせてくれない?」
なのはが眠そうに目をこすりながら言う。
「そっか。じゃあ、また来るよ」
「うん。またね」
そして、俺はなのはに軽く触れるだけのキスをすると、
はやてとフェイトについてなのはの病室を後にした。
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