第六十一話 合宿がはじまってその十二
[8]前話 [2]次話
「どうしようもないね」
「所謂毒親ね」
「その人何でも母親がどうしようもない人でね」
「そんな親に育てられたせいでなの」
「何かヒステリックで自己中心的で遊んでばかりで自分以外の生きもの全部大嫌いでがめつくてね」
「うわ、いいところないわね」
富美子はここまで聞いて即座に顔を顰めさせた。
「それも全く」
「不平不満ばかりで執念深くて自堕落で家事もしないで」
「育児放棄してたのね」
「それで長男のその人ばかり甘やかしてたらしいのよ」
「毒親でそれね」
「それも凄い甘やかして」
そうしてというのだ。
「息子さん三人いてね」
「その長南さんだけで」
「お家に住んでも」
そうしてもというのだ。
「次男さんと三男さんは親戚に預けて」
「長男さんだけ連れて行ってなの」
「それで住んでたらしいし」
「本当に育児放棄したのね」
「こんな親に育てられたから」
「そうなったのね」
「いや、私このお話聞いて思ったのは」
それはとだ、一華は述べた。
「毒親からはね」
「碌でもない人が育つのね」
「そう思ったわ」
実際にとだ、富美子に答えた。
「子供は親の背中見て育つっていうけれど」
「碌でもない人からは碌でもない子供が生まれる」
「だから五十過ぎてもね」
不惑を十年以上過ぎたかなりいい年齢になろうともというのだ。
「自分がこの世で一番偉い」
「中二病を全開させてたのね」
「長男だからって」
家のその立場だったからだというのだ。
「思い切りね」
「甘やかされて」
「それでそうなったのよ」
「幾ら甘やかしてもそこまでなるってね」
かな恵はどうかという顔で述べた。
「やっぱり元々ね」
「酷かったっていうの」
「そうじゃない？」
こう一華に話した。
「元々どうしようもないね」
「そうした人で」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「甘やかされて余計にね」
「酷くなったの」
「そうじゃない？元々酷い人を間違えて育てたら」
「ああなるのね」
「そうじゃない？けれどそれでね」
かな恵は一呼吸置いてからあらためて話した、その一呼吸の間に溜息を入れてそのうえでのことだった。
「周りが迷惑するってね」
「嫌よね」
「そうよね、その人が不幸になったけれど」
その人生はというのだ。
「それ以上に周りがね」
「迷惑したわね」
「だからね」
かな恵はさらに言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除